2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Effect of Democratic Institutions and Public Debt on the Secession and Integration of Wealthy Regions
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20K01665
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
佐藤 茂春 中京大学, 総合政策学部, 教授 (00432849)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域分離 / 地域統合 / 投票制度 / 負債 / 富裕地域 / 天然資源 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度から継続している2つの理論研究に加え、国内の合併データを用いて、地域分離要因の実証分析を中心に進めた。 理論研究ついて、数値シミュレーションを行ったが、計算の実行に問題があり、その問題の解消に取り組んでいる。また、共同研究のモデルについては、モデルの設定の見直しを行ったため、引き続き分析を進めている。 実証分析について、平成の大合併に関する市町村合併の決定要因を公的債務と所得分布の観点から分析した。GISを用いた地理的な所得分布のデータと操作変数法による分析を通じて、一人当たり地方債現在高が内生変数である可能性や、内生性を考慮した分析が必要であることが示された。高所得者率が高い地域では合併が行われにくく、一人当たり地方債現在高の影響については、内生性を考慮しない場合は負の効果があるが、内生性を考慮した場合の効果は断定できない。また、市町村内の経済的格差が大きい場合、分離が促進される可能性がある。これらの結果は地域分離問題に対する政策提言や今後の研究課題に対する示唆を与える。さらに、GISを用いた操作変数法の有用性も示され、今後、海外のデータにもこの分析手法を適用して分析を進めていく予定である。本研究では、大規模な経済性を享受できる自治体の合併傾向や、大きな自治体と小さな自治体の合併しやすさについての先行研究とは異なり、公的債務や所得格差の影響を考察し、地域分離問題への新たな視点を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論研究について、モデルの数値計算で問題を抱えていることが明らかになったため、その改善に取り組んでおり、進捗が遅れることとなった。一方、実証研究については、計画通り進んでいる。上記を総合的に判断して、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
実証研究については、EU各国やイギリスのデータを用いた分析を行う。理論分析については、数値シミュレーションがうまくいくようにモデルの改善に取り組む。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で学会等がオンラインになったこと、および、研究の遅れにともない、研究発表旅費、査読費用、公刊費用などが不要となったため。次年度以降に対面の学会が復活した場合の旅費や査読費用、公刊に関わる諸経費として使用する予定である。
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