2020 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興国での日本の海外直接投資に関する実証研究:地理的・空間的分析を用いて
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20K01671
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Research Institution | Osaka Seikei University |
Principal Investigator |
藤森 梓 大阪成蹊大学, 経営学部, 准教授 (30571814)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海外直接投資 / 日系企業 / 企業の立地選択 / アジア新興国 / マイクロデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジア新興国における日系企業の進出について、企業の個票データを用いて、立地選択の要因を地理的・空間的視点から実証分析することである。具体的には、進出企業のサイドの要因に加えて、受入国側の要因として現地経済や産業の特性およびグローバル・プロダクション・ネットワーク(GPN)といった観点を取り入れ、アジア地域における日系企業の進出パターンを包括的に議論することを目指している。最終的な目的は、日系企業および現地経済双方にとって最適な政策を提示することである。 2020年度に取り組んだことは以下の3点である。 (1)データの入手およびデータセットの構築 (2)理論モデルについての検討 (3)実証分析の手法についての検討 (1)については、日系企業の海外進出データである「海外進出企業総覧(東洋経済新報社)」を購入し、データの整理を行った。また、現地企業のデータとして、インドの「Annual Survey of Industries (Central Statistical Office)」およびベトナムの「Enterprise Survey (General Statistics Office)」についても実証分析を行うためのデータセット構築に取り組んだ。(2)、(3)については、関連の研究プロジェクト(基盤研究A「南アジアの産業発展と日系企業のグローバル生産ネットワーク」(研究代表者:佐藤隆広)および基盤研究C「ASEAN現地企業への技術伝播と中所得国の経済成長に関する理論・実証分析」(研究代表者:西山博幸))および「神戸国際経済研究会:KIES」のメンバーと定期的な研究会を開催し、議論を重ねた。なお、本研究に関連した、インドにおける日系企業の立地選択に関する論文を、現在海外ジャーナルに投稿した(現在査読中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究の進捗状況として、日系企業に関するデータについては、「海外進出企業総覧」がほぼ実証分析に利用可能な状態である。また、進出先のデータに関しても、具体的な研究対象国である、インドとベトナムのデータについてはほぼ利用可能な状態になりつつある。 研究成果について、インドに関しては2010年代における日系企業の進出パターンに関する分析を行っており、2021年度中に完成予定である。また、ベトナムに関する研究についても、共同研究者と議論を重ね、論文のフレームワークが固まりつつある。 なお、もう一つの研究対象国であるタイに関しては、現地の研究者との交渉が進んでおらず、現地経済に関するデータは入手できていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、ひとまずインドおよびベトナムの日系企業に関する研究については、大きな関門であったデータセットの構築がほぼ完了したために、今後は具体的な研究手法の検証が中心となる。これについては、関連の共同研究者と連携を取りながら行っていきたい。加えて、来年度には完成論文のジャーナルへの投稿を考えると、研究成果をディスカッション・ペーパーとしてまとめることが必要であると考えている。 また、2020年度は海外渡航が制限されているために現地調査は中止となったが、本年度において可能であれば実施を検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度は、海外渡航および国内長距離移動が制限されており、学術活動に関係する旅費が発生しなかった。そのため、大幅な余剰金が生じることとなった。
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