2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies in Economic Growth and Income Distribution under Increasing Returns to Scale
Project/Area Number |
20K01672
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
三宅 敦史 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (60513281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大住 康之 兵庫県立大学, 政策科学研究所, 教授 (10223819)
稲垣 一之 南山大学, 経済学部, 准教授 (70508233)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 上位への集中 / 収穫逓増 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、上位企業への一極集中化現象が、経済成長率の低下や所得分布の不平等化を引き起こしているのではないかという仮説を理論的及び実証的に明らかにし、経済成長の促進と所得分布の平等化(所得分布の改善)のために必要な政策を提示することを目的としている。 実証面からの分析においては、日本経済、とりわけ非製造業において上位企業への集中が進んでいるのではないかという仮説を検証するために、複数のデータベースを用いて、1994年度から2018年度までの産業ごとの上位企業の売上高のシェアを調べ、パネルデータを構築した結果、いくつかの産業において集中度が上昇していることが確認された。現在はこのデータベースを用いて上位企業への集中度の上昇がマクロ経済に及ぼす影響について分析している。またForbesのデータを用いて、アメリカにおいて一極集中化が起きていること、特にデジタル産業や金融産業において収穫逓増現象が発生していることを確認した。 理論面では信用市場の不完全性が存在する経済において、財市場の規制緩和と金融市場の改革とがマクロ経済に及ぼす影響について、独占的競争モデルを用いて分析した。分析の結果、経済発展の初期段階においては、金融市場の改革だけを行うと、経済にマイナスの影響を及ぼすので、そうではなくまず初めに財市場の規制緩和を優先的に実施し、ある程度経済が発展した後に金融市場の改革を行うべきであるとの結論を得た。この結論はいくつかの実証面からの先行研究の結果と整合的であり、現在は国際的な学術誌に投稿し、査読を受けているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で対面での研究会の実施や、資料収集などに影響が出たため、特に実証面での分析が、予定より少し遅れていているが、理論面での分析はある程度予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は作成したデータべーを用いて実証面からの分析を行うと同時に、得られた実証結果と整合的となるようなモデルを構築し、理論と実証との両面から望ましい政策の在り方について考察を加えたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初計画では、研究成果の報告を行うために国内外の学会に参加することを予定していたが、学会が対面開催ではなくオンライン開催に切り替わったことにより旅費として支出しなかったことが次年度使用額が発生した主な原因である。次年度以降は学会および研究会の対面開催が増えるため、当初計画通り旅費として使用したい。
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Research Products
(9 results)