2021 Fiscal Year Research-status Report
The impact of US-China Trade Conflict on Global Value Chains: Considering Heterogeneous Firms
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20K01674
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
孟 渤 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 主任調査研究員 (70450541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 朝夫 東北大学, 情報科学研究科, 名誉教授 (80159524)
宇野 公子 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (80558106)
薛 進軍 名古屋大学, 経済学研究科, 名誉教授 (40262399)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 米中貿易摩擦 / グローバルバリューチェーン / 企業異質性 / 付加価値貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 多国籍企業の生産関数、海外直接投資活動を考慮した国際産業連関モデルを開発してきた。従来の付加価値貿易を更に進化させ、要素所得貿易を提示し、米中の貿易赤字のみではなく、比較優位も再評価した。関連成果は2021年6月にアジア経済研究所のDiscussion Paperに掲載され、WTOなどにより2021年11月に刊行された『グローバルバリューチェーン(GVC)発展報告2021年』に引用され、さらにChina Economic Reviewへ投稿し、掲載通知を受けた。2) OECDの多国籍企業の情報を有する国際産業連関表を利用して、GVCベースのネットワーク分析モデルの開発も行ってきた。関連成果は2021年9月にアジア経済研究所のDiscussion Paperに掲載されて、またWTOなどにより2021年11月に刊行された『GVC発展報告2021年』にも引用された。3) 環境サブモデルの開発の一環として、グローバルバリューチェーン上の排出を従来の生産者ベースと消費者ベースの追跡手法の拡張版として、財貿易ベース、サービス貿易ベースとFDIベースのものも新たに提示した。成果はGerman Institute for Global and Area Studiesの国際ワークショップで報告され、また成果の一部はOne Earthに掲載された。4) 多国籍企業の生産関数、FDI活動を明示的に考慮したCGEモデルの開発も行ってきた。そのための企業のOwnership、規模、貿易パターンを有する中国税関統計、経済センサス情報の収集・加工を行っている。当該モデルによる米中貿易戦争の多面的評価に関する成果はWTOなどにより2023年11月に刊行予定の『GVC発展報告2023年』のバックグラウンドペーパーに選定され、2022年10月にアジア経済研究所のDiscussion Paper に公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、当初予定の海外現地調査は行うことができず、また国際機関や海外の協力相手の専門家を日本に招聘することもできなかったため、特にモデル検証用中国と米国のデータ作成に遅れが出た。ただし、Online ZOOM会議を通して、できる限りの努力で基本モデル構築、公表データによる試算は順調に進んでいる。ただし、全体的にやはり1年延長の必要性があり、コロナ禍の収束状況を見ての判断となる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 米中のGVC上の関係を従来の貿易、付加価値貿易の観点から要素所得貿易へアップデートしてきた。ただし、Apple社などに代表されるFactoryless Goods Producerの活動は現行の貿易統計、国際産業連関の枠組み外となるため、これを考慮したモデルの精緻化・統合を行う予定。2) 米中貿易戦争の影響をCGEモデルで分析する際に、これまで企業の異質性の考慮をしたが、FDI活動の完全な内生化したモデルではなく、今後産業レベル国間のFDIのflowとStock情報の推計とともに、モデルのアップデートを行う予定。3) 上記の改善を生かし、環境サブモデルの実証分析にも適用する。4) 米中貿易戦争と同時並行的に、コロナ禍や米欧対中露の経済的デカップリングの状況も見る必要があり、またその相乗効果もかなり大きいと思われる。Regional Science創始者のIsardが後年Peace Scienceに傾倒したのも,よく理解できる。平和は全ての経済活動のprerequisiteという観点からやはりモデルの拡張は必要となる。例えば、中国についてはレアアース等の資源はあっても,大勢は加工貿易的なサプライチェーンの分断可能性の問題で,短期的であるのに対し,ロシアの場合はエネルギーや金属鉱石のようなより上流側(1次産品)の影響と言う意味で,代替が難しい,そのため長期的には生産・消費のパラダイムシフトにつながる可能性がある。更には資源(小麦等の1次産品を含む)の供給が狭まることによる,価格高騰が途上国に与える影響(最終消費ベクトルの変化)も無視できない。その意味でやはり貨幣単位ではなくて物量単位の方が直接的評価が可能なモデルも必要となる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で現地調査に行けず、旅費などの使用はないので、次年度繰り越しの予定である。
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Research Products
(7 results)