2020 Fiscal Year Research-status Report
Empirical research on the effects of auto ownership on parents' time constraints and children's human capital investments
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20K01677
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 美和 (石瀬美和) 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (80745042)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 交通行動 / 時間制約 / 移動制約 / 人的資本投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二人親家庭の行動を基準に子あり世帯の一般的な行動のモデル構築への示唆を得ること、貧困ひとり親家庭の子への人的資本投資を分析し貧困の再生産の要因を明らかにすることの二つを目的として行われている。学童年齢の子供の移動は、多くの場合において親の同伴を必要とする。特に、自動車依存度の高い地域においては徒歩や自転車で安全に移動できる範囲は限られており、親の送迎なくしては学校以外の教育・社交の機会が非常に限られたものとなりうる。また、ひとり親家庭、特に同居親族のいないひとり親家庭では、就労も家事労働も親がひとりでこなさなければならず、親の時間制約が二人親家庭よりも厳しい。よって、子供の送迎を外注できるほどの資金力がないひとり親の場合、子供の活動機会が制約される可能性が高いと考えられる。また、ひとり親が自動車を持つことができないほど貧困である場合には、さらに親の時間制約・活動制約が厳しくなり、子の活動制約もより強いものとなりうる。本研究ではまず、二人親家庭を分析して送迎行動の特徴をあきらかにするとともに、貧困ひとり親家庭においてどのような制約が加わるかを分析して、貧困の連鎖につながる要因を探る。 2020年度は当初から予定されていた米国National Household Travel Surveyの2017年データの整備・解析を行った。具体的には、学童期の子供を親が送迎するトリップをデータから抽出し、子の活動機会が親の時間制約・移動制約にどのような影響を受けるかについての解析を開始している。二人親家庭を対象として送迎行動の頻度や目的、交通手段について分析するとともに、その結果を貧困ひとり親家庭と比較して、貧困の連鎖につながる教育・社交機会の制限を分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により他業務が著しく増大したことを受けて、分析の進捗は当初予定よりはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の通り、2021年度以降はNHTS2017のデータ解析を進めて論文を執筆する。データ解析の遅れは、2021年度に研究員を雇用して回復することを計画している。また、学会や在外研究を通じてカリフォルニア大学ロサンゼルス校のBlumenberg教授らと議論を深めるとともに、コロナ禍において親の移動制約が子供の活動にどのように影響したかについても調査を行うことを検討中である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外学会がオンライン開催となったため、旅費及び参加費が著しく削減されたため多くの剰余金が生じた。この剰余金は2021年度以降に研究員を雇用する費用、及び在外研究の資金として利用される。
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Research Products
(1 results)