2022 Fiscal Year Research-status Report
An Analysis on the Announcement Effects of Monetary and Fiscal Policies
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20K01682
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
工藤 健 長崎大学, 経済学部, 准教授 (70404316)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 財政の持続可能性 / 政府債務の利払い / 超低金利政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の低金利政策との関連から、政府債務の利払い負担を考慮して財政の持続可能性に関する分析を実施した結果、(1)全期間およびいずれのサブサンプル期間でも日本の財政赤字は持続不可能であるという結果が得られた。政府債務残高以外の要因を調整してさらに詳しく分析すると,第2次世界大戦終戦前の期間では1930年代以降,第2次世界大戦後の期間では1990年代後半以降に,日本財政が持続可能な経路から遠ざかっていることがわかった。(2)1970年以降のデータについて政府の粗債務残高を純債務残高に代えても,推定結果はほぼ同様になることがわかった。本稿の分析からは,政府債務残高が粗債務残高であろうと純債務残高であろうと,日本の財政赤字は持続不可能であるという結果が頑健な形で得られたといえる。(3)政府債務の利払い負担が軽減されると基礎的財政収支の赤字を拡大させる余地が生じることが明らかになった。つまり,1990年代後半以降の超低金利政策などの金融緩和は,政府債務の利払い負担を軽くして,ほかの時期より積極的な財政政策を可能にしていたといえる。したがって,Krugman(2020)らが主張するように,政府債務が累積している中でも短期的に財政支出をする余地はあるといえる。この結果から、金融政策の変化が財政状況におよぼす影響が確認できる。したがって、将来の金融政策の変化を予測させるようなアナウンスがあると、金融市場の変化を通じて財政政策の持続可能性にも影響をおよぼすことが推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
財政の持続可能性に関する分析はある程度進めているものの、使用するデータ選定の難航もあり、金融政策および為替政策のアナウンスメント効果に関する分析が十分に進められていないことから「遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
財務省の国債金利情報や日経NEEDSの債券市場データを、過去の新聞記事データベースなどを照合しながら、金融政策に関する情報の変化と財政状況の相互作用を抽出していく。また、財務省の外国為替平衡操作状況およびマクロ金融データを、日本銀行の金融政策決定会合などの政策意思決定アナウンスメントや新聞記事データベースと照合することで、為替政策に関するアナウンスメント効果の検証を図る。
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Causes of Carryover |
金融政策および為替政策のアナウンスメント効果に関する分析について、当初の予定では、金融・為替市場データを整備して分析する計画であったが、研究方法の見直しにより計画通り進めることができなかった。研究方法の見直しをおこなった結果、次年度は次の方策をとることとした。金融政策のアナウンスメント効果を検証するために、日経NEEDSの債券市場データを購入する予定である。このデータを財務省が公開している国債金利情報を補完しながら分析を進める。また、為替政策に関するアナウンスメント効果を分析するために、日経NEEDSのマクロ金融データを購入する予定である。具体的には、このデータを財務省が公開している外国為替平衡操作状況や日本銀行の金融政策決定会合などの政策意思決定アナウンスメントや新聞記事データベースと照合して、政策効果を検証する。
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