2021 Fiscal Year Research-status Report
Marine Fishery Resource Exports and Resource Exploitation: Does Export Intensity Cause Over-Fishing?
Project/Area Number |
20K01683
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
藤井 孝宗 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (90317280)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 貿易と資源 / 海洋漁業資源 / 資源保護 / 資源管理 / 漁業貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究プロジェクト3年のうちの2年目であり、データの収集、整理及び政策・制度などに関する各国の現状調査を一通り終わらせ、データ分析のための準備を完了させるとともにその端緒に取り掛かることが目標であった。 この研究目標を踏まえ、本年度は海洋資源の利用状況、枯渇状況に関し、FAOのデータを利用してデータベースを作成し、整理・集計をおこなった。結果をまとめたものを2021年に高崎経済大学附属地域科学研究所紀要「産業研究」56巻2号に「海洋漁業資源の利用状況と資源枯渇」というタイトルで公表した。本論文では以下の知見を得ることができた。1)海洋漁獲資源においては、各国・地域の資源保護努力にもかかわらず依然として厳しい資源状況が続いており、資源枯渇状態及び資源が減少している魚種の割合は非常に高い。ただし、直近では割合の増加率は落ち着いている。一方で、資源状況が改善している魚種も少なく、厳しい状態のままなんとか維持している、という状況である。2)「国際魚種」として世界中で取引(貿易)、消費されている魚種について、資源状況が厳しいケースが多い。 特に2)に関しては、もし漁獲量制限など一般的に行われている総量規制が十分機能しているならば国際的に消費されるか現地のみで消費されるかは資源枯渇には無関係であるはずである。漁獲総量が決まってさえいれば、国内に売ろうが海外に輸出しようが資源量は変わらないはずだからである。にもかかわらず国際的に取引されている魚種の多くが資源状況が厳しくなっているということは、総量規制が十分に機能しておらず、輸出需要に応えるために乱獲が起きてしまっている可能性を示唆している可能性がある。もちろん、この結論は1次データを分類整理し傾向をみた結果に過ぎず、より精緻な統計的分析を行う必要があるのはいうまでもなく、来年度はこの部分が研究課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究プロジェクトでは、データ分析に並行して、実際の資源管理制度や政策、その有効性について文献調査だけではなくフィールド調査やヒアリング調査を行い知見を深め、データ分析のモデル構築に役立てる予定であった。この部分について、COVID-19による移動制限の影響は極めて大きく、実際のところ現地調査については全く行えていない。この部分の不測を補うためデータ分析の前倒し及び文献収集による情報調査の拡大を目指して研究を行ってきたが、やはり当初の計画と比べると情報不足が否めない。最終年度である来年度にできるだけフォローアップする予定ではあるが、コロナ禍の状況次第であり、この点については厳しい状況である。ただし、データの収集、整理は順調に推移しており、データ分析を行う準備に関しては十分進展していると思われるので、全体として「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度が本研究プロジェクトの最終年度のため、来年度には精緻なデータ分析を行い、結果を公表することが必要になる。データ分析のための準備については、既述の通り予備的調査を含め順調に進展しているため、本年度はその集大成としての分析を行い論文などにまとめる予定である。一方で、主に現地調査の不足から、分析の解釈に必要となる制度、政策的な知見に関しては調査が遅れているため、来年度にできる限りフォローアップしていく予定である。
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