2020 Fiscal Year Research-status Report
女性のエンパワーメント指標の理論的枠組みの検討および就業との関係の実証分析
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20K01688
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
新村 恵美 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 准教授 (50772901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エンパワーメント / 女性の就労、労働力参加 / インド / SDGs / 世帯内意思決定 / ジェンダー不平等への態度 / DHS(人口保健調査) / NFHS(インド全国家族保健調査) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、女性のエンパワーメントの測定指標の理論的枠組みを明確にした上で、女性の就業がエンパワーメントに与える影響を実証的に検討することを目的としている。この目的達成のため本研究は、(1)包括的な測定の枠組みと具体的・網羅的な指標群を明らかにする(理論)、(2)就業とエンパワーメントの関係に関する先行エビデンスの統合からわかることを明らかにする(理論と実証の統合)(3)インドの有配偶女性の就業がエンパワーメントに与える影響を明らかにする(量的分析と質的調査による分析)の3段階で進める。 当該年度は主に次の3点を行った。第1に、女性の労働力参加の理論とインドの労働市場と女性の就業の関係を概観し、有配偶女性の就業選択の関係を、インド全国家族保健調査(NFHS)の個票データから分析したことである。インドで際立って女性の労働力率が低下した2011年を挟む2時点について、都市・農村別に、特に家族要因に注目して、有配偶女性のデータを対象に就業割合の低下の分解分析を行った。 第2に、エンパワーメント測定指標の理論的枠組みに関するレビューを行い、NFHSのベースとなる人口保健調査(DHS)で使用される指標を検討したことである。現在使用されているエンパワーメント指標について、どのような経緯で作成された項目なのかなど、理論的背景を検討した。 第3に、人口学の研究会のSDGs研究のプロジェクトに参加し、SDGsの起源や現在の動向について研究報告を行ったことである。これは現在、研究会として予定している書籍出版に向けて原稿を執筆中である。女性のエンパワーメントと就業は、SDGsのそれぞれ目標5と目標8に掲げられている。SDGsの包括的な検討から、国際社会において女性の置かれた状況を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度はCOVID-19の感染拡大によってインドでの基礎調査が実施できなかった一方で、文献調査や購読、個票データの分析については、予定通り進めることができた。 しかし全体としては、インドでの調査基盤を作ることができなかったために、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、これまで①有配偶女性の就業の理論と実証、そして②エンパワーメントの理論的枠組みとその指標について検討してきた。これらを踏まえて、今後の研究は次の2点を方策として推進していく。 第1に、有配偶女性の就業が、エンパワーメントに与える影響を、計量的に明らかにすることである。これは上記と同じくインド全国家族保健調査(NFHS)の2005-06年および2015-2016年の2ラウンド分を使用して、多変量解析を行う。 第2に、質的調査を行う。COVID-19の感染状況を注視しつつ、インドの就業/非就業の有配偶女性を対象に、就業とエンパワーメント (世帯内意思決定、ジェンダー不平等への態度)の関係を検討するためのインデプスインタビューをインドにおいて行う。
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Causes of Carryover |
前年度に予定していたインドでの基礎調査、地方への学会出張が、COVID-19感染拡大により実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。 COVID-19の収束を待って、現地調査の実施を検討したい。
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Research Products
(2 results)