2023 Fiscal Year Research-status Report
女性のエンパワーメント指標の理論的枠組みの検討および就業との関係の実証分析
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20K01688
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
新村 恵美 帝京平成大学, 人文社会学部, 教授 (50772901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エンパワーメント / 世帯内意思決定 / 女性労働 / 家族構成 / 就業要因 / エージェンシー / インド / 南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、女性のエンパワーメントの測定指標の理論的枠組みを明確にした上で、女性の就業がエンパワーメントに与える影響を実証的に検討することである。インドの有配偶女性を対象とした。 これを達成するため、当初の予定どおり、(1)包括的な測定の枠組みと具体的・網羅的な指標群を明らかにする(理論)、(2)就業とエンパワーメントの関係に関する先行エビデンスの統合からわかることを明らかにする(理論と実証の統合)(3)インドの有配偶女性の就業がエンパワーメントに与える影響を明らかにする(量的分析と質的調査による分析)の3段階で進めてきた。2023年度は以下を進めた。 ①2022年度に行ったインドのデリーで2度の研究調査を行った結果をもとに、質的分析を行った。具体的には、20名のインタビュー対象者の内、離死別女性を除く16名について、世帯内意思決定に参加する要因とそのプロセスを検討した。論文としてまとめ、投稿中である。 ②インド全国家族保健調査(NFHS)の3調査分の個票データから、デリーの有配偶女性を対象に、世帯内意思決定の要因を分析した。就業、家族構成(特に「世帯主の義理の娘」であるかどうか)、経済的リソース(銀行口座の保有、自身で使途を決められるお金の保有)との関係を検討した。 ①②から得られた知見としては、インドにおいて義父母との同居は、「世帯内意思決定」と一貫して強いマイナスの関係がある。就業していない女性においては、義父母同居の場合、「銀行口座」と「自身で使途を決められるお金」の両者を同時に保有することで、世帯内意思決定への参加につながるが、単独では世帯内意思決定とプラスの関係にはならないことがわかった。同様の結果は、質的分析でも得られた。一方、就業女性においては、義父母の影響のみが世帯内意思決定と関係していた。 ③これまでの研究成果をエンパワーメントの理論的枠組みで検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった3つの課題を終え、現在は本研究の成果をまとめる段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で終了であるため、成果報告の論文を仕上げ、学会等での発表準備を行う。
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Causes of Carryover |
2023年度は、前年度のインドでのフィールド調査で得られたデータの分析を行い、学会発表等はオンラインで行ったため、旅費を使う機会がなかった。本年度は研究で得られた成果を発表する研究会参加等をし、また、データ分析の仕上げのための先行研究不足部分の確認のために書籍等を購入や印刷等に使用する予定である。
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