2020 Fiscal Year Research-status Report
アジア途上諸国の空間的側面からみた所得格差とその要因
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20K01690
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
林 光洋 中央大学, 経済学部, 教授 (80367672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アジア途上諸国 / 地域間所得格差 / 地域内所得格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過去20数年間を対象に、インド、フィリピン、インドネシアの格差を空間的側面から分析するものである。主要な調査項目は、以下の4点である。1)所得格差とその変化は、地域内格差と地域間格差によってそれぞれどの程度説明されるのか。2)Elbersの手法(maximum between-group inequality)を用いると、地域間の格差(between-group inequality)はどの程度説明力をもつのか。3)地域内および地域間の格差とその変化は、教育、年齢、ジェンダー、就業セクター、社会階層等の世帯特性によってどの程度説明されるのか。4)3か国の空間的な格差を比較分析すると、何がみえてくるのか。 初年度の2021年度は、過去2-3時点の家計調査データを揃え、整理し、地域別都市・農村別の貧困ライン等を使い、時間に加えて、場所の違いによる価格調整を行なう。そのうえで、所得格差とその変化を、タイル指標を使い、地域内格差と地域間格差によって要因分解する。また、データや資料を入手したり、研究対象国の格差の現実を知り、理解するために、フィリピン、インドネシア、インドを訪問し、現地調査を実施するという計画であった。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で、研究時間の確保が難しくなり、また、現地調査も実施できない状態となってしまった。別の研究予算で、昨年度末、インドで現地調査を実施することができたため、その情報等を使用しながら、インドに関する論文をまとめた。 空間的な所得格差(家計所得ではなく、家計消費支出で格差を計測)を、同国の家計調査データ(NSS)を用いて分析した。その結果、インドの家計消費支出格差は、地域内(都市・農村内)格差のほうが地域間(都市・農村間)格差よりも大きかった。しかし、後者も年とともに拡大してきていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の2020年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大にともない、多くの制約が生じた。そのため、研究に当初計画をしていた時間を配分することができなかった。また、研究対象国に入国することができなかったため、予定していた現地調査を実施することがかなわなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、新型コロナウィルス感染症の影響をなんとか最小化し、昨年度計画をしていたフィリピン等の研究対象国で現地調査を実施して、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の影響で、研究に計画通りの時間を配分することができなかったこと、研究対象国への現地調査を実施できなかったこと、等が重なり、研究費を執行することができなかった。2021年度も、新型コロナウィルス感染症の影響を予測できないが、昨年度かなわなかったフィリピンをはじめとする研究対象国での現地調査を実施するつもりである。そのための費用を中心に支出していきたい。
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