2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01694
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林原 正之 追手門学院大学, 経済学部, 名誉教授 (00104901)
野村 良一 立命館大学, 経済学部, 教授 (60465599)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 関税 / 従量税 / 従価税 / 真の目的 / 目的関数の内生化 / 民営化 |
Outline of Annual Research Achievements |
3月31日現在、本科研に関係する2021年度に公刊が決定した論文は1本、投稿後reviseに回っている論文は1本(Hamada, Ohkawa, and Okamura (2022))、投稿中の論文はHayashibara,Ohkawa,Okamura, and Nomura (2021), Hamada, Ohkawa, and Okamura (2022a), Hamada, Ohkawa, and Okamura (2022b)の3本である。 Hayashibara et al. (2021)は昨年度も投稿しrejectされ、別雑誌に投稿した。内容については昨年度の報告書に記載している。Hamada, et al (2022a)はベンチマークモデルの拡張となる研究で、従量税あるいは従価税を課すことがR&D投資を促進し、長期均衡では租税前よりも価格が低下することを示している。Hamada, et al (2022b)は長期均衡時の最適従量税や従価税の一意性を示したものである。 今年度新たに判明したことは、ベンチマークモデルでの税の種類の内生的決定が頗る困難である点である。そこで、税の種類を所与とした形で、関税スキームの選択に絞ったベンチマークモデルを分析した上で、無限繰り返しゲームにおけるどちらのスキームが維持されるかについて考察することとした。その成果がHayashibara,Ohkawa,Okamura, and Nomura (2022a)である。2国2市場において差別化の程度が関税収入最大化スキームの維持の可能性に大きくかかわっていることが判明した。この成果については、次年度早々投稿予定にしている。 なお、昨年度公刊されたKawasaki,etal 2020)が、掲載雑誌での2020-21年において引用数が最も高かった論文に選出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、コロナ禍でのオンラインを使った共同研究打ち合わせの方法にも慣れてきたことから、たとえばなかなか時間的に調整がつかない研究打ち合わせについても、動画を作成して、そのURLを他の共同研究者に示し、空き時間に視聴してもらって、その後メールなどでコメントを受ける方法も採用した。 内容的には、上記にも述べたが、ベンチマークモデルにおける関税の種類の選択(従量税vs従価税)と、税率決定時の関税スキームの選択(厚生最大化を真の目的としたうえで、厚生最大化vs関税収入最大化)の二つを考察することが極めて困難であることが判明した。 理由は、単純な枠組のモデルであっても、関税の種類が異なる時の結果を明示的に導出しても、余りにも煩雑な式となるので、直観的な説明を付けることが不可能な事にある。そこで、方向性を変更し、税の種類については、従量か従価であるかを固定して、関税スキームの選択に絞ったこと。加えて、自由貿易の維持が可能かどうかというテーマを新たに分析目的にすることにした。 つまり、次のようなステップで分析を行う事とした。ステップ1)対称的なモデルかつ従量税を前提とする。1無限繰り返しゲームを導入し、どちらのスキームの維持が生じるのか?2ある関税スキームと自由貿易との選択を考え、どちらの関税スキームの方がより自由貿易が維持されやすいのか? ステップ2)従量税かつ企業数などの非対称性を導入して、上記の2の問について検討する分析を行う。 今年度、結果まで導出できたのは、ステップ1)の1と2である。1については、Hayashibara et al (2022a)であり、完成原稿を作成した。2については結果は全て求めているので、Hayashibara et al (2022b)として22年度に完成予定にしている。ステップ2)については、予備的な結果までは求めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
22年度は最終年度ということになる。したがって、今後の研究推進方策としては、内容面と方法面(研究打ち合わせ)の2点に関して、下記のような方策を取るつもりである。 内容面:まず、Hayashibara et al (2022a)については、英文チェックも済ませ、DPの形にも体裁を整えているので、22年度に入り即投稿をおこなう。次に、Hayashibara et al (2022b)については、結果は導出できているので、直観的な説明を加えて投稿する方向である。これらは対称モデルで従量税が前提である。第三に、非対称モデルかつ従量税と、対称モデルかつ従価税の二つであるが、予備的な計算を行い、最終年度であることを勘案し、計算結果の導出の容易さと結果の直観的な説明がつきやすいことで、分析の順番を決定する。 方法面:代表者が役職に就くこともあり、研究打ち合わせの時間を頻繁に確保することは難しいと考えられる。そこで、昨年度のいくつか試した方策の中でうまくいった、ipadとgoodnoteとを活用して、スライド原稿を作成し、それをZoomにミラーリングして動画を録画する方法を多用したいと考えている。加えて、論文執筆のスピードアップのためにもDeepLの活用なども検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、学会等がオンラインでのみの開催となったために旅費として計上した分が使用できなかった。今年度は学会等が対面での開催が予定されているので、旅費として使用する予定である。
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