2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K01696
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
林 明信 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (10454547)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際航空ネットワーク / 相互乗入れ国際空港 / 国際航空会社間の競争 / ハブ空港の外部効果 / 国際ハブ空港の料金競争 / 滑走路の拡張投資 / グローバルとローカル厚生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020(令和2)年度の研究実績として,国際学術専門誌(査読付き)の公刊論文2点が挙げられる。1点目の公刊論文“Congestion pricing and capacity for internationally interlinked airports”は「Transportation Research Part B (2020)」に公刊されたものである。この論文はこれまで単一空港のみを扱う研究を,両国を結ぶ複数空港まで拡張し,それぞれの国際空港の料金政策と滑走路の増設投資について,グローバル厚生およびローカル厚生の観点から分析している。主な分析結果は以下の通りである。グローバル厚生を最大にする最善料金政策と比べて,自国厚生だけを最大にする各国空港は外国の航空会社に高い利用料金を徴収し,空港利潤を得ようとする誘因を持つ。この誘因がグローバル厚生上の損失を,また滑走路の拡張に過大投資を引き起こすことを明らかにしている。2点目の公刊論文“Airport pricing and capacity: Schedule versus congestion delays”は「Research in Transportation Economics (2021)」にオンラン公刊されたものである。この論文は国際ハブ空港の最適空港料金の設定ルールおよび滑走路の拡張投資のルールについて議論している。分析では,運航スケジュールと滑走路の混雑による両側面の遅延費用を取り上げ,国際ハブ空港の旅客使用料金と離着陸料金の徴収手法について,最善策と次善策の観点から議論している。また,最適料金と滑走路の拡張投資の効率性との関連性についても明らかにしている。これらの論文2点は本研究の目的および研究計画ⅠとⅡと一致しており,得られた研究成果のもとで,航空および空港産業に対する具体的な政策提言がされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,第1期の令和2 (2020) 年度に計画Ⅰを実行し,令和3 (2021) 年度と4 (2022) 年度前半に計画Ⅱを実行するとしている。研究計画ⅠとⅡを立てる時点では,それぞれの準備状況がすでに整えており,またそれぞれの分析結果についてもほぼ予測通りにできたため,上記2020年度の公刊論文2点目が計画Ⅰを,公刊論文1点目が計画Ⅱを前倒しに遂行することができた。そのため,研究が当初の計画以上に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度では,研究計画調書の計画Ⅱを遂行する際に,捨象された空港の所有・運営形態(国営か民営)を取り入れる予定である。具体的な実施計画については以下のように立てる。第一段階の[1]世界中の主要ハブ空港の料金体系の実態を調査する。特に,空港の所有・運営の形態および空港料金の徴収手法の相違について比較しながら,整理する。[2]先行研究に加えて,空港経営に関する専門図書を中心にサーベイ・整理しながら,モデルの構築に役立てる。第一段階の[3],第二段階並びに第三段階については2020年度の第1 期と同じ研究方法をとる。
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Causes of Carryover |
令和2年度中に参加する予定の国際学会はコロナ禍により不開催となったためである。使用計画について,研究計画調書の計画Ⅱにしたがい,世界中の主要ハブ空港の料金体系の実態を調査する。特に,空港の所有・運営の形態および空港料金の徴収手法の相違について比較しながら,整理しておく。。それらのデータを入力・整理するために,作業補助者1名,6時間×10日程度の補助作業を行う予定である。また,論文を作成する際に,図表の作成,数式の入力,参考文献の整理・入力など,作業補助者1名,6時間×15日程度の補助作業を行う予定である。それらの人件費として支出する。また,研究成果を国内外の研究会・学会で発表する際の旅費・宿泊費に使用する。研究の最終段階において,成果の一部を国際学術専門誌に投稿する際に,英文の校正や論文の投稿に必要な経費として支出する計画である。
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