2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K01697
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡田 啓介 関西大学, 経済学部, 准教授 (70633064)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 技術 / 生産性 / 制度 / 貿易自由化 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画に基づき、主に以下の点について研究活動を行った。
(1)貿易自由化が経済に与える影響についてはこれまでにも多くの議論がなされてきた。2000年代以降発展してきた企業の異質性を考慮したモデルでは、同一産業内に異なる生産性の企業が存在し、貿易自由化が進展すると生産性の低い企業から高い企業へと資源が移動することで経済全体の生産性が上昇することが示されている。このモデルに新規企業の参入を明示的に考慮した場合、貿易自由化が生産性にどのような効果を及ぼすのかについて検証した。研究結果から、貿易自由化と生産性の関係は単調ではなく、貿易自由化が常に生産性の向上をもたらすとは限らないことが明らかとなった。研究成果は国際的学術雑誌Journal of International Economicsに掲載された。
(2)経済成長の源泉に関してはこれまで多くの研究がなされてきた。資本蓄積が重要であることが広く知られているが、それだけですべてが説明できるわけではない。人的資本によって促進される技術拡散も不可欠であることが指摘されている。そこで、「東アジアの奇跡」とも評される戦後アジアの経済発展の源泉をこの2つの要因から理論的・実証的に検証した。研究結果から、(a)経済発展の初期には資本蓄積が重要であったこと、(b)人的資本が技術拡散を促進したこと、(c)経済発展の後半にはイノベーションが重要であったこと、が明らかとなった。研究成果は国際的学術雑誌Asian Development Reviewに掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、2本の論文を国際的学術雑誌に掲載した。また、その他に1本の論文を国際的学術雑誌に掲載し、1本の論文をワーキングペーパーとして発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
海外直接投資と企業の生産性に関する研究を進めており、必要となる企業のミクロデータを収集・分析する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により出張が難しかったため、次年度使用額が発生した。次年度は統計ソフトの購入、研究打ち合わせ・研究成果報告のための旅費、書籍の購入などを計画している。
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Research Products
(5 results)