2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01704
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
本田 衞子 一橋大学, 経済研究所, 非常勤研究員 (00812364)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50467263)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 医師 / 医師届出票の届出率 / 女性医師 / キャリア経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度には、主に以下の研究活動を行った。 【医師届出票の届出率】1977年から2008年までに医籍登録を行った医師につき、1978年から2016年までの偶数年の医師届出票の届出率(提出率に相当する)推計を男女別かつ医籍登録年コーホート別に行った。1977-1978年に登録を行った医師については1978年から2016年までの調査につき20回分の推計、1979-1980年登録者については1980年から2016年までの19回分の推計・・・2007-2008年登録者については2008年から2016年までの5回分の推計を行った。医籍登録年ごとに推計対象の回数が異なる。対象となっている全ての医籍登録年について推計を行った、医籍登録直後の調査から5回分の調査について、異なる医籍登録年ごとの届出率比較を行うことができた。どの医籍登録年であっても、女性の届出率は男性の届出率よりも低い傾向にあることを示した。また、男女とも登録後年数の経過に伴い届出率は低下してから上昇する傾向にあるが男女では上昇傾向が異なること、男女とも届出率が改善しているが、女性のほうが改善の程度が大きい傾向にあることがわかった。 【初職時の就労環境とその後のキャリアとの関係についての研究】労働経済を専門とする研究者(海外研究者2人を含む)を招聘し、初職時の就労環境がその後のキャリアに与える影響について意見交換を行い、医師のキャリア分析において分析手法を応用できるかを検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【医師届出票の届出率】先行研究の医師届出票の届出率の推計では、生存率を考慮した届出率については特定の調査年で異なる医籍登録年の届出率を示すにとどまっている。一方、今回、異なる医籍登録年につき登録直後の調査から5回分の調査について推計を行うことで、医籍登録後からの経過年数を固定して異なる医籍登録年ごとの届出率の比較や、医籍登録年ごとの経年に伴う届出率の変化を把握することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
医師のキャリア経路として、若年期には病院に勤務し、10年以上の経験を積んだ後に診療所を開設するというパターンが典型的だと言われてきたが、診療所開設を急ぐようになったという指摘がなされるようになった。キャリア形成に変化が生じているという指摘を踏まえて、男女別、かつ医籍登録年コーホート別に医籍登録時から一定期間継続して病院に従事する医師について分析を行い、性別を問わず後年のコーホートほど病院からの離脱が加速しているという指摘は当てはまらないことを示した。女性医師は増加しているものの、医師全体で確認した場合でも、医師の病院離脱が早まるという現象は生じていない。また、同一の医籍登録年コーホートの医師につき男性と女性とを比較し、男性よりも女性が早い段階で病院から離職していることがわかった。 この長期に渡る男女のキャリア経路分析過程の中で、女性医師の届出票の届出率は男性医師よりも低いのではないかと予想を持ったことから届出率の分析を行うことにした。「5.研究実績の概要」に示す通り、届出率分析についての結果も得られており、今後、当該成果の公表を行いたい。
|
Causes of Carryover |
【令和5年度】Windows 10サポート期限の公表を踏まえてPCを2台購入したが、海外の学会への参加がなかったことにより費用額が全体としては圧縮された。 【令和6年度】研究期間延長が再度承認されて、令和6年度が研究最終年度となった。令和6年度には、海外の学会への参加を含め、研究成果を発表するための研究会や学会等への参加を積極的に行ないたい。昨年度までの費用額の繰り越しは、旅費や校閲費に充当する予定である。
|