2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01709
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
村田 啓子 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (90526443)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 恒常所得―ライフサイクル仮説 / 高齢世帯 / 消費・貯蓄 / 所得・資産分布 / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.データベース作成作業:中長期のパネル調査である厚生労働省「中高年者縦断調査」及び同「21世紀成年者縦断調査」の個票利用申請が許可され、両調査について回答者の属性及び収入関係を中心としたパネルデータを構築した。中高齢者縦断調査は途中から収入関連の質問形式等に変更があったこと等も踏まえ、特にデータスクリーニング作業等を慎重に行った。並行して、総務省「家計調査」により家計の消費・貯蓄・可処分所得・資産等に関するデータベースを構築し、各変数の定義、就業に関する回答と勤労収入の整合性等の確認作業を行った。 2.実証研究 (1)少子高齢化・低成長下における家計の経済的選択に関する研究については、アベノミクス期においてみられた集計データに基づく家計消費性向の動向に着目しつつ、その背景にある家計の世帯属性別にみた所得・消費動向の特徴について、昨年度得られた観察された結果(特徴)を解明するための次のステップとして、複数の個票データにより定量的な分析を進めた。具体的には、「家計調査」個票を用いて世帯主年齢に着目しつつ消費性向及び可処分所得の構成要素の増減の要因分析を行ったほか、ライフサイクル・恒常所得仮説を基本とする理論仮説に基づく計量的検証のために「中高年者縦断調査」及び「21世紀成年者縦断調査」パネルデータにより、個人の所得動向に着目した検証を進めた。 (2)高齢世帯の世帯間格差について、予備的分析として「家計調査」により所得分布及び消費分布を90年代以降について、勤労世帯に見られる特徴とも比較しつつ分析したほか、「全国消費実態調査」個票により80年代以降の所得分布の変化を分析した。得られた結果を踏まえ、両調査を用いてコホートに着目した分析を進めた。 (3)並行して、その他研究課題についても来年度における実証研究に向け基礎データの確認、先行研究レビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 2021年度は昨年度の分析を踏まえ、個票データによる計量分析を進めることができた。厚労省「中高年縦断調査」及び「21世紀成年者縦断調査」個票は、基本統計量等を確認する過程で受領データの一部に欠損等のミスがあったことが判明したこと、両調査の個票利用は初めてだったことなどから、データベース構築にやや労力・時間を要したものの、個票データからパネルデータを構築し計量分析を行うことは当初の予定通りで、おおむね順調に進んでいる。 2.世帯間格差については「全国消費実態調査」個票により高齢世帯に着目し最近までの状況を分析し、予想していた結果とやや異なる興味深い結果も得られたこと等から、他の統計調査も参照しつつその確認や追加的分析を行った。こうした経緯から作業的には当初想定したよりも若干増加することとなったものの、研究は着実に進んでいる。 3.並行して、その他分析についても来年度における実証研究に向けデータベース作成、基礎データの確認、文献検索等の準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.(1)の分析については、パネルデータによる計量的な検証をさらに進めた上で、結果をデイスカッションペーパーとして取りまとめ、セミナー、学会等で報告・議論した後学術雑誌に投稿する。 (2)についてもまずは観察される事実をさらに精査した上で、先行研究の成果も活かしつつ分析を進める。 2.その他分析課題については、データ確認作業の後、実証研究作業に移行する。
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Causes of Carryover |
研究に関する意見交換などをリモートにより行なったこと、準備作業やデータ整理等を自ら行ったことにより、旅費、人件費、謝金などが節約できたため。次年度において研究成果を高めるためのワークステーション、ソフトウエア等物品の購入、データ整理や作業補助の人件費などに充当する予定である。
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