2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01718
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 千鶴 関東学院大学, 経済学部, 教授 (70339787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (20596192)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活時間 / 時間帯 / 保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、夫と妻の就業の時間帯のパターンと推移を検証し、就業の時間帯を規定する要因や就業の時間帯と家族形成、育児との関係を探ることを目的としている。2020年度は、次の3つを実施した。第一に、就業時間帯に関する分析の準備として、子育て期の日本の夫婦の生活時間について、社会生活基本調査の匿名データを使用し実証分析を行った。1996~2006年の期間、家事育児、就業、余暇、これら3つの活動時間への時間配分と子どもとの関係、および経年変化について多変量解析した。分析結果から、まず、乳幼児を持つ夫婦で、妻の就業時間が増大し、夫の就業時間は相対的に長いままである。夫の就業時間の長さにおいて、学歴間格差が拡大している。次に、調整される時間量は相対的に小さいものの、子どもの年齢が低いと、統計的に有意に、夫の家事育児参加はより高く、余暇時間がより短い。また、統計的に有意に、夫の家事育児参加は上昇し、妻の家事育児時間は減少し、妻の就業時間は増加した。夫と妻の余暇時間は、2006年に有意に短くなった。最後に、就業する妻は、夫に比べて余暇時間が短いうえに、夫の家事育児時間量が小さく、妻自身の家事育児時間を減らして時間配分調整をしている。 第二に、就業時間帯についての実証分析のため、東京大学社会科学研究所付属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブから「東大社研・若年パネル調査」の個票データの提供を受けた。2007から2015年の期間、出宅時間と帰宅時間の情報から、深夜、すなわち午後10時から翌日午前5時までの、就業者の在宅状況を分析したところ、深夜不在の割合は、減少傾向にあるといえる。今後、在宅時間帯のパターンや働き方、世帯属性との関係を検証する予定である。 第三に、コロナ下における保育実施の状況について自治体に調査を実施した。保育施設のヒアリング調査の企画、準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2020年度は、分析のモデル構築、データ申請、データから多変量解析に使用する変数の構築、保育施設ヒアリング調査の企画、準備を行う予定であった。これらについて、実施したところで、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、下記の実証分析を進めるとともに、実証分析を補完する情報を得るため、保育施設のヒアリング調査を行い、親の就業時間帯や保育サービスの実態を把握する。 実証分析のため入手したデータでは、就業時間帯に関する情報がないが、出宅時間と帰宅時間の情報があり、これを使用して在宅時間帯について次の実証分析する。なお、使用するデータは、2007年から2015年の9年間、同じ個人について追跡調査を9回行ったという利点があり、個人の変化を分析するには最適なものである。1)在宅時間帯のパターンとその推移が、性、年齢、配偶関係、世帯収入、就業形態、家族構成とどのような関係にあるのか。2)夫婦の在宅時間帯の組合せの実態。3)在宅時間帯の規定要因を探る。
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Causes of Carryover |
学会大会に参加するため、旅費を計上していたが、新型コロナのため、大会が中止または延期、オンライン開催に変更され、旅費の支出が行われなかった。次年度以降も大会については、オンラインの開催が見込まれ、旅費の支出は当初予定より少ないと考えられる。旅費で計上していた直接経費については、国際学会大会の報告・参加では、動画の収録などが求められているので、収録などが実施できる機材やアプリケーションの購入などに使用する予定である。 保育施設のヒアリング調査の企画において予備調査のため、予算項目「その他」を計上していたが、新型コロナのために次年度に実施が延長された。次年度に支出の予定である。
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Research Products
(2 results)