2020 Fiscal Year Research-status Report
Eliciting the preferences of obstetricians and pediatricians for job characteristics in Japan
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20K01724
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
佐野 洋史 滋賀大学, 経済学部, 教授 (50502316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 励 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (10411836)
森 宏一郎 滋賀大学, 経済学部, 教授 (90637307)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医師 / 産婦人科 / 小児科 / コンジョイント分析 / 勤務条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コンジョイント分析により、産婦人科・小児科医師が就業先の選択の際に重視する勤務条件を定量的に把握し、各診療科の医師とその女性医師にとって有効な就業促進策を明らかにすることである。 当該年度は、まず、顕示選好(RP)データと表明選好(SP)データを用いた離散型選択モデルに関する文献調査を行った。調査結果を基に、仮想医療機関の選択結果(SPデータ)と現在までの勤務先の選択結果(RPデータ)を同時に用いて医師の就業行動を的確に説明できる統計モデルを開発した。次に、勤務条件に対する産婦人科医師の選好と就業促進策に関する文献調査を行った。当該調査により、産婦人科医師の勤務実態を把握し、コンジョイント分析に用いるアンケート調査票を検討した。調査票には、勤務時間や当直回数、助産師との業務分担、院内保育所の利便性などの勤務条件が異なる仮想医療機関から勤務先を選択する質問を含めた。 当該年度の本研究の意義は、コンジョイント分析に用いる新たな医師の就業行動モデルを開発したことである。医師のSPデータとRPデータを同時に用いて医師の就業行動を的確に説明できるRP/SP結合モデルの開発は、国内外でまだ行われていない。また、アンケート調査結果を用いてコンジョイント分析を実施することにより、産婦人科の多様な勤務条件に対する医師の選好を、支払意思額や受入補償額といった金銭価値で表すことができる。 当該年度の本研究の重要性は、勤務時間の短縮、夜間当直の免除、助産師との業務分担、院内保育所の24時間化といった勤務条件改善策・女性医師支援策のうち、産婦人科医師とその女性医師の確保のために最も実施すべき施策を明らかにできることである。本研究では勤務条件に対する医師の選好を金銭価値(便益)で把握するため、各施策の費用対便益を検討した上で最も実施すべき就業促進策を提言することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
医師の就業行動を的確に説明できる統計モデルの開発と勤務条件に対する産婦人科医師の選好と就業促進策に関する文献調査を行ったが、新型コロナウィルスの感染拡大のため、当該年度内に予定していた産婦人科医師へのヒアリング調査が実施できなかった。そのため、コンジョイント分析に用いるアンケート調査票が作成できず、当該年度内に予定していた産婦人科医師へのアンケート調査も実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に実施した文献調査と次年度に実施する産婦人科医師へのヒアリング調査の結果を踏まえて、コンジョイント分析に用いるアンケート調査票を完成させる。対面でのヒアリング調査が難しい場合は、オンラインでの実施を検討する。また、全国の産婦人科医師にインターネットによるアンケート調査を依頼・実施し、コンジョイント分析により勤務条件に対する産婦人科医師の選好を金銭価値で評価する。 次年度は、産婦人科医師への調査と分析が終わり次第、勤務条件に対する小児科医師の選好と就業促進策に関する文献調査と小児科医師へのヒアリング調査を行い、コンジョイント分析に用いるアンケート調査票を作成する。そして、全国の小児科医師にインターネットによるアンケート調査を依頼・実施し、コンジョイント分析により勤務条件に対する小児科医師の選好を金銭価値で評価する。 以上の研究成果は、国内外の学会や学術雑誌にて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルスの感染拡大により、当該年度内に予定していた産婦人科医師へのヒアリング調査やアンケート調査が実施できなかったためである。 次年度の使用計画は、まず産婦人科医師へのヒアリング調査を速やかに実施する。既に実施した文献調査と今後のヒアリング調査の結果を踏まえてアンケート調査票を作成し、全国の産婦人科医師にインターネットによるアンケート調査を依頼・実行する。 また、次年度は勤務条件に対する小児科医師の選好と就業促進策に関する文献調査と小児科医師へのヒアリング調査も実施し、コンジョイント分析に用いるアンケート調査票を作成する。そして、全国の小児科医師にインターネットによるアンケート調査を依頼・実行する。 以上の文献調査、ヒアリング調査、アンケート調査のそれぞれに、研究費を使用する予定である。
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