2021 Fiscal Year Research-status Report
The Effect of Political Context on Decision Making
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20K01729
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
肥前 洋一 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (10344459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 政治的文脈 / 投票 / 政治経済学 / 実験政治学 / 実験経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、次の2つをおこなった。 (1)実験室に代えてウェブ調査による実験を実施した。株主総会(経済の文脈)では、株式1株に対して1つの議決権が与えられるため(一株一議決権の原則)、保有する株式の数に応じて各株主が持つ議決権の数が異なる。一方、選挙(政治の文脈)では、各有権者に対して等しく票が与えられる(一人一票の原則)。政治の文脈において一人一票の原則が緩められることがどの程度まで有権者たちに許容されるのかを探るため、20年後に稼働し始める廃棄物処理場の建設の賛否を問う住民投票のシナリオを作成し、世代に応じて異なる票数が与えられる投票方式を採用することの適切さを回答者に評価してもらった。現在、データの分析を進めている。 (2)過去に実施した実験室実験のうち本研究課題に関係するものについて、論文を書き上げて学術誌に投稿した。Hizen & Kurosaka (2021)は、実験室でおこなわれる選挙において、投票へ行くことを選択すると実験参加報酬の一部が失われるとともに(金銭的費用)、投票のあと実験参加報酬を増やすためのタスクに取り組む時間が失われるとし(機会費用)、投票へ行くか否かに対する金銭的費用と機会費用の影響の大きさの違いを観察した。購買という経済行動における費用は金銭の支払いである一方、投票という政治行動では(金銭ではなく)時間が失われる。したがって、二種の費用の影響力の違いは、経済と政治という異なる文脈での意思決定の違いを見い出すうえで重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染症の流行に対応し、実験室に代えてウェブ調査により実験を実施することができた。また、過去に実施した実験室実験のうち本研究課題に関係するものについて、論文を書き上げて学術誌に投稿することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、実験室に代えてウェブ調査により実験を実施することができたので、データを分析したうえで、次年度にはさらなるウェブ調査実験を実施したい。その中で、対面による実験室実験が必要な検証事項が生じた場合には、実験室実験もおこなうこととする。
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Causes of Carryover |
感染症対策として、本年度も学会・研究会・研究打ち合わせのための出張をすべて取りやめたため。次年度は学会参加のための複数の出張ができる見込みであるため、その旅費に充てる。
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Remarks |
依頼講演:肥前洋一「実験政治学と行動経済学」第2回シンポジウム「「行動経済学の死」を考える」オンライン開催、2022年1月8日.
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