2022 Fiscal Year Research-status Report
The Effect of Political Context on Decision Making
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20K01729
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
肥前 洋一 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (10344459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政治的文脈 / 投票 / 政治経済学 / 実験政治学 / 実験経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、経済行動研究の学術誌Journal of Economic Behavior & Organizationに論文Hizen, Kamijo & Tamura (2023)を投稿し掲載することができた。先行研究では、ドメイン投票(子どものぶんまで親に投票権を与えて代理として投票させる投票方式。将来世代のぶんまで現世代の一部に投票権を与えて代理として投票させる方式への拡張が研究されている)が将来世代の便益を高める選択肢の得票シェアを増やすかを実験室実験により検証している。本論文では、将来世代という文脈を付さずに、被験者たちの間で実験参加報酬をいかに分け合うかを投票で決めるというフレームで実験を実施した。文脈を排することにより、ドメイン投票(実験室で投票権を与えられた被験者の間だけで投票し、投票権が与えられなかった被験者のぶんも代理で投票させる)と投票権の拡大(被験者全員に投票権を与える)の比較を可能にした。実験結果は文脈を付した先行研究とおおむね整合的であり、ドメイン投票は投票権が与えられなかった被験者の報酬を高める利他的な選択肢の得票シェアを増やさなかった。その背後では、被験者の一部が、代理票を利他的な選択肢ではなく自分の利得を最大化する利己的な選択肢に投じたこと、および一人一票の投票では利他的に投票していたがドメイン投票では利己的な投票に転じたことが観察された。投票権を拡大した場合には、利他的な選択肢の得票シェアが増えたが、ドメイン投票と同様に利己的な投票に転じる被験者がいたため、仮説として期待された得票シェアには至らなかった。ドメイン投票でも投票権拡大でも、新たに導入された票がどのように用いられるかに議論が集中する傾向があるが、既存の有権者たちの投票行動に変化が生じるかにも着目する必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経済行動研究の学術誌として定評のあるJournal of Economic Behavior & Organizationに論文Hizen, Kamijo & Tamura (2023)を掲載することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は、研究成果を論文にまとめて投稿することを主とする。まもなく英文校正を終えて投稿予定のMiyake, Hizen & Saijo (2023)、追加のデータ分析をおこなって結果の頑強性を確認したあと投稿するHizen & Kurosaka (2021)、データ分析のあと文章を執筆し終えたら投稿するHizen & Kurosaka (2023)を用意している。論文改訂時に追加の実験が必要になった場合には、実験を実施する。
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Causes of Carryover |
感染症の流行状況に応じて出張規制が緩和され、国内のいくつかの学会・研究会に対面で出席することができたが、オンラインによる開催も多かった。また、帰国後の業務に支障を来すリスクを回避するため、海外出張を自粛した。次年度は出張規制が撤廃されるため、学会・研究会・研究打ち合わせの出張旅費に充てる。さらに、研究成果をまとめた論文を英文校正して学術誌にオープンアクセスとして掲載するための費用に充てる。論文改訂時に追加の実験が必要になった場合には、その実施費用に充てる。
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Research Products
(1 results)