2023 Fiscal Year Annual Research Report
Income receipt and health: causal effect in the short run and the long run
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20K01731
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井深 陽子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20612279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱秋 純哉 法政大学, 経済学部, 准教授 (90572769)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 所得受取 / 年金支給日 / 恒常所得仮説 / 遺産 / 労働供給 / 救急搬送 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、科学研究費補助事業の最終年度として前年度から継続して実施している二つの研究の取りまとめに注力した。第一に、所得の受け取りの短期的な影響の研究として、年金支給が救急搬送の増加に与える影響の分析を論文としてまとめた。本研究は、総務省消防庁から提供を受けた救急搬送データ及び株式会社みずほ銀行から提供を受けた出金情報のデータを利用して行った。救急搬送に関する場所・入電時間・診断病名などの詳細な情報を利用することで、救急搬送の背後に経済活動の活発化が起こっていること、どのような経済活動の活発化がリスクを高めるかということ、について分析を行った。さらに、年金支給日の経済活動の活発化がなぜ起こるのかを明らかにすることを目的とし、2023年6月の年金支給日前後の3日間に調査会社へ委託し独自のオンライン調査を行った。この調査結果に基づき、これらの経済活動の活発化の一部は流動性制約の緩和により説明できることを示した。論文は、2023年7月の国際学会並びに同年9月のハワイ大学マノア校の経済学部セミナーで報告を行い、受けたコメントをもとに改訂に取り組んだ後、慶應義塾大学経済研究所及びハワイ大学経済学部のディスカッションペーパーとして公表し、現在査読付専門誌に投稿中である。第二に、所得の受け取りの中長期的な影響の研究と関連し、遺産の受け取りが労働供給・時間配分・消費に与える影響の論文に関して投稿後の改訂に取り組んだ。
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