2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K01735
|
Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
陣内 悠介 国際大学, 国際関係学研究科, 准教授(移行) (20723456)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 教育経済学 / 労働経済学 / 政策評価 / 開発経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界に広がる教育格差を研究対象とし、教育効果に差が生じている根本的要因を、各国の詳細なデータと計量経済学モデルおよび国際比較分析によって明らかにするものである。本研究では、多数の国を対象に構築した長期的なパネルデータ等を、多様な計量モデルで実証分析した。本研究から得られる成果は、教育経済学の研究分野に貢献するだけでなく、とくに開発途上国にとっては今後の成長のために必要な、より有効な教育政策づくりに結びつくものと期待できる。より具体的には、以下のような研究論文につながった。Sonevilay and Jinnai (2021)では、ラオスにおいて義務教育の年限を伸ばした政策変更によって女性の進学率がどれくらい高まったのか、かつその結果としてどの程度出生率に変化を及ぼしたのかを推定した。Tin and Jinnai (2021)では、チャドのデータを用いて同国においてしばしば生じる若年男女の結婚によって、とくに女性側の教育や労働面での不利益について分析した。Byambaa and Jinnai (2022)は、女性の進学率や就業率が高いモンゴルを対象に、出産を機にどの程度離職率が高まり、その結果としてどの程度の人的損失が生じているのかを調べた。Othman and Jinnai (2022)およびDev and Jinnai (2023)ではいずれも男女の賃金格差が世界的にも大きい韓国のデータを用いて、男女間における教育効果の違い等を吟味した。Wangchug and Jinnai (2023)では、近年景気が悪くなるブータンにおいて、教育の差がどれだけ就職の差につながるのかを分析した。こうした一連の研究を通じて、開発途上国でも広がる格差について研究を行い新たな知見を得た。いずれの論文も国際的な学会で報告かつ、学術誌へ投稿している。
|