2023 Fiscal Year Annual Research Report
An Inquiry into the Municipal Government Decision-Making: Evidence from Local Assembly Transcripts
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20K01736
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川浦 昭彦 同志社大学, 政策学部, 教授 (10271610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 泰知 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50400073)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地方議会 / 議員 / 選挙 / 発言 / 得票率 / 議会議事録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のテーマは地方自治体の公的意思決定の過程の考察であり、都道府県議会・市議会での議員の行動とそれが選挙結果にもたらす影響を分析した。公共選択の理論から導き出される仮説を実際のデータで検証することが目的であるため、議員の立法過程への参加の指標とするために議会議事録に記録される各議員の発言文字数データを算出した。この過程では機械学習の機能を備えたプログラムを活用した。この発言文字数データを当選回数・年齢・所属会派・性別・議長職務の有無などの各議員の属性データと組み合わせ、議員が再選を目指した場合の次期選挙での当落および得票に、議会での発言が影響を与えるか否かを検証した。 分析は都道府県議会議員選挙と北海道小樽市の市議会議員選挙について実施した。都道府県議会議員選挙については、1995年の議会選挙を4月12日の日程で行った41道府県を対象として実証分析を行った。議員の立法過程への参加を反映する発言文字数の変数は、次期選挙での当選にプラスの影響を与えることが確認された。つまり、議員にとっては議会で発言を行い審議に参加することは再選にとって有利であるとの仮説は支持された。この研究成果をまとめた論文は査読付き学術雑誌 Constitutional Political Economy の2024年3月号に採録されている。 小樽市市議会議員選挙については、2000年以降の5回の市議会選挙での得票率を被説明変数として、その決定要因についてのパネルデータ回帰分析を行った。ここでも、議員にとっては議会審議に参加することは再選にとって有利であるとの仮説を検証することができた。また、この効果は4年間の議員任期の中では任期後半について分析した場合に影響がより強くなる。選挙に近い時期に議会審議に参加することが再選には重要なことである。この研究成果をまとめた論文は査読付き学術雑誌に投稿中である。
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