2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K01741
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山口 昌樹 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (10375313)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際資本移動 / ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、通貨危機後に経済危機を深刻化させた過度なドル依存からの脱却を目指し、アジア諸国が協働した制度構築がアジアの貯蓄をアジアへの投資へ向かわせる域内資金循環の成長に結びついたかという疑問が動機付けの1つである。また、米国における利上げが新興国からの資金流出を引き起こしている状況において、アジアの域内資金循環が収縮したのではないかという懸念も本研究の動機である。これらの疑問に答えるため本研究はアジア諸国による国際金融ネットワークの特徴や動態についてネットワーク分析を適用して観測した。 本研究で得られた知見を三点にまとめる。第一に、CPISにおいて中国のデータが利用できるようになった2015年と米国における利上げ開始後の2022年を比較すると、アジア諸国の対外投資は相対的に大きな伸びを示した。また、対外調達は対外投資ほどではないもののマレーシアを除いて増加した。アジア諸国について資金の出し手へと変化した側面が確認できた。第二に、固有ベクトル中心性を用いて国際金融ネットワークにおける重要性を測定したところ、米国の利上げにも拘わらずアジア諸国の地位が後退した兆候は見られなかった。また、アジア諸国が相対的に緊密なネットワークを形成している国々をコミュニティ抽出によって同定を試みた結果、アジア諸国は日米を中心とする国際金融ネットワークに組み込まれていることが判明した。第三に、域内資金循環の動態を、ネットワークの凝集性を測定する密度を拡張して本研究に適用し、米国の利上げや世界的な証券投資の増加を考慮しても域内資金循環は増加したこと、さらに、アジア諸国による域内資金循環が運用面では米国に匹敵すること、調達面では域内調達の比率が上昇したことが分かった。
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