2021 Fiscal Year Research-status Report
金融市場における高頻度取引の発展が市場参加者の厚生に与える影響についての研究
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20K01742
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| Research Institution | Hitotsubashi University |
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Principal Investigator |
西出 勝正 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40410683)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 高頻度取引 / ディレクショナル取引 / マーケットメイク取引 / マーケット・マイクロストラクチャー |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は以下の2つの研究を中心に進めることができた．
1) 2020年度に論文として纏めた理論研究を査読付き国際論文雑誌に投稿した．当該論文は高度金融技術を用いて新しい情報が到来した際に一早く自動注文を入れることで利潤の獲得を目指す，いわゆるディレクショナル取引を研究対象として考察したものである．既存研究の観点とは異なり，情報の非対称性ではなく取引頻度そのものに着目した点が研究としての新規性である．また，本研究課題である「市場参加者の厚生」についても新しい示唆を得ることができた．現在は査読報告書に基づく論文改訂と再投稿が完了した状況であり，上手く行けば採択・掲載となる見込みである．
2) 新しい理論研究として2020年度から取り組んできた高頻度取引を活用したマーケットメイク取引について，おおよその枠組みを構築することができた．既存研究と異なり，静学問題として定式化することで設定を簡便化させることで解を導出できた点が研究上の前進と言える．理論結果として，ファンダメンタルズの不確実性と流動性の関係やマーケットメイク取引における取消戦略の重要性など，重要な示唆を得ることができた．既に複数の研究集会や学会で報告を行なっており，その際に討論者や参加者等から出た指摘事項等を論文に反映させて2022年度には論文雑誌に投稿できる見込みとなった．
併せて，関連研究として進めてきた複占競争下における2企業の参入・立地問題を同時に考慮した理論論文が国際論文雑誌に採択された．本研究における理論モデルは，取引所間の競争等にも応用できる設定となっており，今後は高頻度取引と関連づけて検討していきたい．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に関連論文1件が査読付き論文雑誌に採択された．また，「研究実績の概要」にて記載の通り，理論研究1件は査読付き論文雑誌にて改訂指示後の再投稿まで進んでおり，上手く行けば採択の見込みである．新しい研究も2022年度内には論文雑誌に投稿するまでに研究を纏めることができた点は評価できると言える．
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| Strategy for Future Research Activity |
2022年度は，研究期間最終年度としてこれまでの全ての研究を纏めた上で完成論文として査読付き論文雑誌への投稿を目指したい．第1のディレクショナル取引に関する研究については既に再投稿まで完了していることから，早期の採択を目指す．第2のマーケットメイク取引に関する研究については学会での報告や斯分野の研究者との交流を通じて更なる精緻化と改善に努めた上で論文を完成させて査読付き論文雑誌の採択・掲載に向けて取り組む．第2の研究でも本研究の最大の課題である「市場参加者の厚生」に高頻度取引がどのような影響を与えるのかについての理論的示唆を得ており，実証研究との関連も踏まえつつ議論していく.
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| Causes of Carryover |
2020年度から引き続き2021年度も新型コロナウィルスの影響で国内外の学会における発表を目的とした出張が全くできなかった関係で執行金額が当初計画よりも大幅に少なくなった．2022年度も上記の影響で出張費が当初予定を下回る可能性があるが，新規モデル構築のための数値計算に伴う計算機の購入等が見込まれ，過年度繰越分を含めて当初予定通りの使用額となる計画である.
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