2020 Fiscal Year Research-status Report
低金利政策と銀行の貸出行動、企業の創出、地域格差に関する実証分析
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20K01747
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| Research Institution | Nagasaki University |
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Principal Investigator |
式見 雅代 (富山雅代) 長崎大学, 経済学部, 教授 (30313456)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 銀行間競争 / 金融政策 / リスクテイク経路 / 銀行貸出 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、異次元の低金利政策が銀行の貸出行動や地域経済に与える影響について、実証分析することにより、政策効果の地域特性に基づく異質性について考察することを目的とする。
2020年度の研究目標は、低金利政策下における銀行の貸出行動を分析し、リスクテイク経路を通じた金融政策の効果が日本でも見られるか、またその効果は、地域金融市場の銀行間競争の度合いにより異なるかについて、明らかにすることである。研究目的を達成するため、企業の借入金データ、企業の財務データ、銀行の財務データを統合させたデータベースを構築し、既存研究に倣い、実証分析を行った。銀行間競争の変数としては、金融機関の店舗数、都道府県別の金融機関の貸出額に基づくハーフィンダール指数を用意した。分析期間は、2005年度～2018年度である。
分析から、リスクテイク経路を通じた金融政策の効果は、銀行間競争が高くなるほど、強くなることが判明した。さらに、マイナス金利導入以降では、より競争が激しい市場で、流動性比率の高い銀行によるリスク貸出が増加しており、より高い利回りを追及して豊富な資金をリスク貸出に向けていることが示唆された。これらのリスク貸出は、競争市場では、企業レベルでの投資を増加させるという実体経済への効果が見られたが、寡占市場では、投資が抑制され、企業が資金制約に陥っていることが示唆された。これらの結果は、金融政策やプルーデンス政策を立案する際、銀行の財務状況のみならず、貸出市場の競争環境を考慮することの重要性を示している。
尚、研究結果の一部は、国内の研究機関で報告されるとともに、SSRNに論文投稿している。新型コロナ感染拡大の影響により、海外での論文報告は、次年度に回した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析では、企業の借入金データ、企業の財務データ、銀行の財務データを統合させたデータベースと銀行間競争の代理変数の作成が不可欠であるが、それらは、前年度に構築したものを期間延長したため、比較的早い段階で推計を行うことができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に得られた結果を、国内外の学会で報告するとともに、国際学術雑誌へ論文投稿する。
さらに、2021年度は、貸出市場の競争と銀行経営の安定性の関係が、低金利政策の程度により異なるか、明らかにする。リスクテイク経路を通じたリスク貸出の増加が、地域金融機関の潜在的脆弱性をどの程度高めているのかについて、分析を進める。
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| Causes of Carryover |
海外での学会報告を次年度に行うことにしたためである。
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| Remarks |
(2)の論文タイトルは、"Exceptionally Low Interest Rate Policy, Risk-Taking Channel, and Bank Competition: Evidence from Loan-level Data"である
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Research Products
(3 results)
