2022 Fiscal Year Research-status Report
高次元金融資産間の相互依存関係:ファクター・コピュラによるアプローチ
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20K01749
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
立花 実 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70405330)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コピュラ / 個別株式リターン / テイル依存係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、米国の代表的な株価指数であるS&P500とその各構成銘柄との関係をコピュラを用いて分析した。S&P500リターンと個別企業の株価リターンを様々な種類の2変量コピュラで推定し、AICで最良のコピュラモデルを選択するというアプローチを採用した。多種多様な同時分布を検証するために、一つの指数-企業ペアに対し30種類のコピュラモデルを推定した。これらのコピュラは、対称・非対称の依存関係、テイル依存係数の有無、下側テイルと上側テイルの大小関係の観点から異なる性質をそれぞれ有している。また、時間を通じて依存関係の程度が変化しないモデルと時変的なモデルの両方を分析している。分析の結果、以下の点が明らかになった。第一に、時変型のt-クレイトン混合コピュラがほとんどの指数-企業ペアで最良モデルとして選択された。これは、両者の関係は非対称であり、具体的には下側テイルと上側テイルの両方が存在し、それらは時変的であり、そして下側テイルの方が上側テイルよりも時間を通じて常に高いということを意味している。第二に、時変型のtコピュラが二番目に多く最良モデルとして選択された。第三に、下側テイルは平均して約0.2、上側テイルは平均して約0.1と推定された。以上の結果は、Krupskii-Joe型の1-ファクターコピュラモデルを構成する2変量連結コピュラの選択に有益な情報を与えるという意義があり、今後の自身のファクターコピュラを用いた研究に活用することが期待できる。本研究は現在、論文の執筆段階に入っており、近々、学術雑誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、個別株式リターンと株価指数リターンの関係を精緻に調べることができた。この研究はKrupskii-Joe型の1-ファクターコピュラモデルを構成する2変量連結コピュラの選択に有益な情報を与えるため、次年度に自身が行う予定の当該ファクターコピュラを用いた研究のベースになることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究成果を基に、S&P500を構成する個別株式リターンについてKrupskii-Joe型の1-ファクターコピュラモデルあるいは2-ファクターコピュラモデルを構築し分析する予定である。
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