2020 Fiscal Year Research-status Report
The Current Account Surplus and the Budget Deficit in the Global Market: Cyclical and Categorical analysis
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20K01764
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永易 淳 東北大学, 経済学研究科, 教授 (30375422)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際収支 / 貿易収支 / 財政政策 / グローバル経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、財政赤字と経常収支黒字が併存する経済背景や条件を明らかにすることを目的としており、海外研究者を含む3人により実施されている。研究初年度であった昨年度は、データの収集、モデルの推定、アメリカの経済学会(Western Economic Association International)での研究発表などを通して研究を進展させた。 〇Cyclical Reaction of Fiscal Policy and its Relationship with the Current Account Balance Western Economic Association International, Virtual 95th Annual Conference Program, June 26, 2020 また、研究結果は次の東北大学のディスカッションペーパーとして公表している。 〇Cyclical Reaction of Fiscal Policy and its Relationship with the Current Account Balance, DSSR Discussion Papers 118, Graduate School of Economics and Management, Tohoku University. このように研究は進展しているが、新型コロナウイルスのため研究者が異なる国(日本、イギリス、モロッコ)に居住することになり、研究内容を検討する機会が当初の研究計画より大幅に少なかった。予定していた海外出張も中止を余儀なくされ、居住地間の時差も大きかったため、主に電子メールでコミュニケーションをとることに努めたが、研究の方向性などについて予定していたようなオープンな議論ができなかった。(その結果、海外出張予算を翌年に繰り越すことになった。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年春から日本でも蔓延した新型コロナウイルスのため、研究計画を変更せざるを得ない状況に陥った。研究環境の整っていない在宅勤務、オンライン講義の準備、海外出張中止など、特に昨年度前半は新規の研究を落ち着いて実施する環境ではなかった。また国内研究者2名と海外研究者1名で本研究を行う計画であったが、新型コロナウイルスのため国内組1名が日本に帰国不可能となったため、殆ど3カ国で研究を実施することになった。 研究初年度は、在宅の研究環境を構築する一方で、データの収集、モデルの構築と推定、結果発表などオンラインを活用して研究を進展させた。特定の国に特化した先行研究と異なり、各国における財政政策と国際収支の関係を実証することが本研究の一つの特色である。そのため国家間で一貫性のある定義のデータを収集することに時間を要したが、この点においては予定通り計画を遂行できたと考える。また、国際学術会議での研究報告やディスカッションペーパーの発行など、研究の進歩については一定の評価を与えることができると思う。 しかし、経済モデルの構築や推定という点やデータの分析方法という点において、新型コロナウイルスのため研究グループ内で議論する機会が少なかった。そのため、研究の方向性など不透明な要素も多分に含んでいるのが現状である。これらの点を含め、研究初年度に国際学術会議で多くのコメントを得たことは非常に有意義であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染防止のため、在宅での研究が奨励されることが多かったが、この一年間で自宅における研究環境は大幅に改善された。また、本書類を作成している2021年4月現在、新型コロナウイルスの状況は改善する兆しは見えないが、ワクチン接種の普及に伴い対面での討論や国内外出張も今冬以降可能になるのではないかと予想している。海外出張で使用できなかった初年度の予算は、今年度に繰り越しているため可能であれば海外出張2回を計画している。この計画を実行するため、海外の研究機関に長期間出張する許可を昨年度所属大学から得た。このように対面で研究の詳細を話し合う機会や研究報告を行う場を設け、初年度の問題点として挙げた研究者間のコミュニケーション不足を改善したいと考えている。 しかし、新形コロナウイルスが世界中で蔓延している中、上記計画には大きな不確実性が伴う。少なくとも2021年内に海外出張できる可能性は低いと考えている。そのため、研究初年度同様、年度前半は在宅やオンラインで研究を進めるよう準備している。オンラインでの学術会議やセミナーへの参加を通して他の研究者との交流を深め、本研究を推進できるよう努めたい。具体的には、2021年春季日本経済学会や2021年5月28日に開催される東北大学「知のフォーラム」主催の国際学術会議での研究報告が予定されている。これ以外にも今後研究発表の機会を増やしていき、報告を通してより完成度の高い研究を実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのため国内外出張ができなかったことが理由である。昨年度の残高は今年度の出張費として使用する予定。
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