2020 Fiscal Year Research-status Report
因果推論の手法を用いた国際金融の諸問題の影響の解明
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20K01773
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
藤井 隆雄 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (80547216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江阪 太郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (60347515)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 因果推論 / 為替介入 / 財政規律 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際金融の諸問題(為替政策、資本自由化(規制)等)の因果効果を、因果推論の手法を用いて実証的に検証しようとするものである。もちろん、国際金融の諸問題については、これまでも多くの実証分析が行われてきた。しかし、それらの多くは、パネルデータ分析(固定効果モデル)等の手法を用いているため、厳密な意味で因果効果を推定していることになっていない。それに対して、本研究は、昨今、進展が著しい因果推論の手法を用いている点を特徴としている。 令和2年度は、大きく分けて三つのことを行った。まず、手法についてのサーベイである。上記でも述べた通り、因果推論の手法の進展は著しいものがある。例えば、Abadie et al.(2010)によって開発された合成コントロール法(Synthetic Control Method, SCM)については、Ben-Michael et al.(2020)が拡張された合成コントロール法(Augmented Synthetic Control Method, ASCM)を提示し、差の差分析(Difference-in-Differences, DID)についても、Sant'Anna and Zhao(2020)がDoubly robust difference-in-differences推定量を提示している。この他にも手法についての多くの進展があったので、R等で実装できる準備を行った。次に、江阪・藤井(2018a, 2018b)の拡張である。具体的には、SCMで分析を行っていたものを、ASCMで再度分析し直した。最後に、円買い・米ドル売り介入の分析に着手した。Esaka and Fujii(2019)では、米ドル買い・円売り介入の効果を分析していたが、それとは逆の為替介入の分析であり、当初計画通りである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、大きく4つのことを提示していた。具体的には、(イ)為替制度と財政規律、(ロ)為替介入(円買い・ドル売り)、(ハ)成長率と政府債務、(ニ)手法の精緻化である。この内、(イ)、(ロ)、(ニ)については、着手できており、令和3年度、令和4年度に論文の形にまとめ学会発表を行えるまでには分析を進めているため、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画で予定していた(ハ)成長率と政府債務については、合成コントロール法を用いた分析は難しいということが判明した。しかしながら、他の分析は、当初計画通りの問題意識を持って分析していく予定である。
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