2020 Fiscal Year Research-status Report
The Effectiveness of Filtering, Frequency Domain Analysis, and LASSO on Forecasting Future Exchange Rates
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20K01775
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
和田 龍磨 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (20756580)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バンドスぺクトラル回帰 / 為替レート / LASSO / フィルタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は昨年度末で終了する予定であった科研費課題を発展させる形での実施を予定していたが、コロナウィルス蔓延の影響により先行する科研費課題を1年間延長したため、今年度は当該課題最終年度であるとともに本課題の初年度となった。このために部分的に重複する研究として、今年度はすでに執筆済みの論文の改訂および国際学会(The Econometric Society/Bocconi University World Congress 2020, 28th Symposium of the Society for Nonlinear Dynamics and Econometrics)での発表に多くの時間を費やした。一方で、本課題で重要となる為替レートデータの整備を行った。しかしながら、パンデミックの影響は金融市場一般と外国為替市場にも大きく、このような外れ値のようなデータを予測研究に使用することの是非についての検討を行った。パンデミックがなければこのような問題を考える必要もなかったと思われるが、その反面、この偶発的な出来事により、市場混乱期における予測精度という新たな問題を発見することができた。次いでベクトル自己回帰モデルを用いて周波数領域の予測に用いる場合の利点および問題点を考察するために、通常の時間領域でのベクトル自己回帰モデルに加え、構造型ベクトル自己回帰モデルとりわけパラメターに制約を加えたモデルの予測への応用を検討した。周波数領域のフィルタリングについての検討も行ったが、これについては予測精度の測定、とりわけ対立するモデルとの比較において制度が優れていることを統計的検定する際に問題となりうる点を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題のうち、周波数領域を用いた為替レート予測では主としてバンドスぺクトラル回帰を行うが、1変量のものについては推定するモデルがほぼ完成している。為替レート予測についてのこれまでの先行研究における論点整理は今後も継続して行う必要があるものの、大枠においては完了した。コロナウィルスの蔓延とそれに伴う世界的な市場の混乱のため、データの収集法(月次・週次・日次データとそれぞれの予測がどのような意味を持つか、など)および市場混乱時における予測問題と予測精度の測定という、新たな研究上の課題を得ることができた。さらに、周波数領域における多変量予測にはベクトル自己回帰モデルを用いるつもりであるが、このモデルについても予測に用いる際の利点および問題点をめぐって、先行研究に基づきある程度の整理を行うことができた。今年度はLASSOによる推定についてはさほどの進捗を予想していなかったため、この点については次年度以降に実施する。上記の理由から、初年度の実施状況としてはおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、ベクトル自己回帰モデルによる周波数領域の予測に注力する。特に何らかの制約を課して推定した場合のモデルが予測において優れているのかについて検討を行う。合わせて、フィルタリングをかけた場合の予測精度の統計的検定問題についても本格的な検討を行う。今年度高性能コンピュータを購入し、ブートストラップ法に基づく検定は比較的容易に行うことができる環境が整ったため、この検定の問題に取り組む。さらに、この高性能コンピュータを駆使し、今年度までの科研費課題で用いた方法によってLASSOを応用した周波数領域に基づく予測問題についてもさまざまな角度から検討を行う。
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Causes of Carryover |
今年度参加を予定していた国際学会のうちの1つ(The Econometric Society/Bocconi University World Congress 2020)がオンライン開催となったために旅費の使用がなかったことと、その他の国際学会についても中止あるいは予定変更のために出席せず、このため旅費支出がなくなった。また、本研究課題に先行する別の科研費課題が延長となったために購入を予定していた高性能コンピュータについてはその支出を大幅に減らすことができた。
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