2021 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic analysis on financial system development
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20K01778
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
大野 弘明 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20554934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 双曲型割引 / 非流動資産 / コミットメント / 柔軟性 / クローズドエンドファンドパズル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究は下記の2点に集約される。第一目は昨年度執筆したHyperbolic Discounting and State-Dependent Commitmentの投稿に伴うレフェリーコメントに対する追加の分析及び改訂である。本研究は後に説明する二つの研究の基礎研究的な位置づけであり、現在計算しているモデルのベースラインになっている。指数型割引のケースと比較した時の厚生比較など既存研究との対比を明らかにするための分析を行った。
上記の研究はリスクを伴う経済環境下における双曲方割引と呼ばれる時間非整合性を考慮した時にコミットメントと柔軟性の役割を議論するために、借入制約などの役割を明示的に分析している。このモデルを用いると、ファイナンス分野ではclosed-end fund puzzleと呼ばれる、open-end fundと比較したときに発行当初は高値が続き、期中は安値となり、最終的には価格が一致するという問題に対する解を与えることができる。ここでの説明は単純化を強調するため三期間モデルでの説明を加えると、初期では将来の時間非整合的な(浪費的な)意思決定を回避するため流動化コストの高い、コミットメント手段としてのclosed-end fundを需要するため高値がつくが、二期目においては浪費を行うために、時間選好率の程度によってはコストを伴ってでもそれらを流動化してしまうため、相対的に価格が下落してしまう。また満期においては裁定条件より価格が一致する。
以上2つの分析が2021年度における研究の進捗状況である。これらの分析を継続的に分析を行うこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はカンボジアにおける金融補完及び金融代替を明らかにすることを主たる目的としている。しかしながら、Covidー19の状況により、現地調査によるデータ収集ができていない。そのため、先に理論モデルの構築や分析によって、金融技術革新に伴う効果などを理論的に明らかにすることを先に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航が可能になれば、カンボジアでデータ収集を行うが、それが難しいようであれば、引き続き理論的な分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
海外における現地調査によるデータ収集を見送ったため、次年度使用額が生じた。今年度のCovidー19の状況を見ながら、渡航の判断をおこなう。
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