2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on international monetary policy coordination under the zero lower bound on nominal interest rates: The role of downward nominal wage rigidities
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20K01784
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
井田 大輔 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (50609906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 光洋 大阪学院大学, 経済学部, 准教授 (20635065)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二国ニューケインジアンモデル / 最適金融政策 / 中央銀行 / 名目賃金の硬直性 / 公約解 / 裁量解 / 国際政策協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、採択課題の研究計画に基づき、賃金の粘着性を加味した二国ニューケインジアン(NK)モデルを構築した。具体的には、Erceg et al. (2000)の賃金粘着性の想定をClarida et al. (2002)の二国NKモデルに適用した。対数線形化された構造モデルだけでなく、効用関数の二次近似によって表現される中央銀行の損失関数も導出した。
モデルの構築後は、インパルス反応関数や厚生分析などのシミュレーション分析を行い、先行研究とはいくつか異なる結果が示唆された。とくに、二国モデルにおいては、世界経済厚生を考えるうえで自国と外国の中央銀行は自国と外国の名目賃金の粘着性の程度を考慮することがあることが示唆された。さらに、閉鎖経済では有効とされる公約解のパフォーマンスも、名目賃金の粘着性が存在する二国モデルにおいては、その良好なパフォーマンスは自明でないことも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択された研究計画書に書かれていた通り、一年目でベンチマークになるモデルの構築というゴールが達成されたからである。一年目の理論モデルから得られた結果は現在、論文作成中で近々Working paperとして公表される予定である。また、二年目のゼロ金利の問題を考える際のシミュレーション技法や先行研究についても共同研究者と情報共有を行っている。これらの点を加味すると、本プロジェクトの進捗状況は概ね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画の推進方針は、採択された研究計画書に沿って継続することである。具体的には、上述のように、一年目で作成したベンチマークの二国NKモデルにゼロ金利制約の効果を加味した理論モデルを作成し、名目賃金の粘着性とゼロ金利制約の問題を同時に考えていく。シミュレーション結果が出た時点で、セミナーや学会等で報告を行い、幅広い識者からコメントを頂戴する予定である。
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Causes of Carryover |
新型ウイルスによる影響によって一部剰余金が生じた。この点については、翌年度の助成金と合わせて、書籍の購入等の研究遂行など必要に合わせて計画的に支出する。
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