2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K01790
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 カンナ 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (30334999)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イタリア / 地域格差 / 開発計画 / 国家持株会社 / 開発援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
1950年代初頭から1963年にかけてイタリアは急速な経済成長=「奇跡の成長」を経験し、1958年にはヨーロッパ主要国とともに通貨の対外的交換性の回復に踏み切った。この時期にイタリアはブレトンウッズ体制とヨーロッパ統合プロセスとに参加し、国内の経済問題は国際協調の場においても検討され議論された。本研究では、同時期のイタリアにとって最重要な政治・経済課題であった南北の地域格差問題(「南部問題」)を、国際通貨・貿易体制の再建と資本市場の復活というグローバル化の文脈の中に位置づけ、歴史実証的に解明することで、戦後の国際協調体制が、加盟国のマクロ経済政策とりわけ地域開発政策にどのような制約や影響を与えたかを検証する。本研究は、徹底した一次史料の収集を基礎にした歴史実証的なアプローチを採る。 初(2020)年度は、1940年代後半以降のイタリアの南イタリア開発計画と国際機関からの融資について、主にイタリアと米国の公文書館・史料館において一次史料の調査・収集を精力的に進める予定であったが,Covid19の蔓延による渡航制限や史料館の閉鎖により予定変更を余儀なくされた。そのため,先行研究や公開資料をもとに,イタリア統一後の南部問題の変遷と地域格差是正を目指した南部投資推進等の政策的対応を,国内の政治経済財政情勢,ブレトンウッズ体制やヨーロッパ統合などの国際協調の場における開発をめぐる議論の展開と国内政策への影響,20世紀のイタリア経済を特徴づけた公企業(国家持株会社IRI)が南部開発事業に果たした役割とその結果,等の視点から明らかにし,論考をまとめた.本稿は2021年に編著書として公刊される予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年初頭からのCovid-19の世界的な流行により,世界中で人の移動が厳しく制限され,イタリアやアメリカ合衆国のアーカイブに赴いて一次史料の調査・収集が不可能になったため. 一次史料の収集・利用は本格的歴史研究である本研究課題の遂行にとって不可欠なベースであるが,本研究課題が依って立つ未公刊の一次史料は,それを所蔵する文書館を訪問する以外アクセスの手段が無く,電子媒体による複写・取り寄せも認められていないため,日本国内において史料調査・収集を行うことは不可能である.この結果,当初の研究計画に大きな遅れをもたらすことになった.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,先行研究や公刊資料をもとに,第二次世界大戦後のイタリアの経済成長と南部開発のための資本需要が、1950-60年代の国際金融秩序の形成や国際金融市場の発展とどのように連関していたのかを明らかにしていく。得られた知見は2021年秋に学術学会において報告し,金融史の研究者との意見交換を経て,論点の整理や必要となる根拠史料の割り出しを進め,論考の精緻化に努める. また,Covid19の流行が収束し,海外渡航が正常化したら直ちに,イタリアの史料館を訪問し,中央銀行や公文書館の史料を精力的に調査・収集し,これまでの研究史サーベイの結果得られた課題について,一次史料に基づく歴史研究を推し進める.
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Causes of Carryover |
Covid19による世界的な人の移動の制限や外国の史料館の閉鎖,国内での学会のオンライン化などに伴い,国内外への出張をすべて中止し,旅費が発生しなかったため. Covid19の流行が収束し,海外渡航が正常化した後,イタリアおよびアメリカ合衆国の史料館を直接訪問し,資料調査・収集を行う計画である.
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