2020 Fiscal Year Research-status Report
A comparative research of German railways in the 20th century
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20K01791
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ばん澤 歩 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (90238238)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経済史 / 経営史 / 西洋史(ドイツ史) / 鉄道史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は本科研の初年度にあたるが、新型コロナウィルス感染症の影響で、研究活動の柱となるべき海外渡航による史料調査や国内外での研究成果報告の予定変更(中止)があいついだ。2回以上を予定していたドイツ連邦共和国における史料調査を中止せざるを得なかったことで、当初予定した20世紀ドイツ交通省の人事記録へのアクセスができず、学術的な報告ないしそれを発展させた論文の形での成果を得ることが遅れている点は遺憾である。 2020年中には以下の書籍を出版し、これまでの本科研を利用した成果を取り入れ、啓蒙書(新書)の形で、これまで蓄積してきた鉄道業を視座に据えたドイツ語圏経済史・経営史研究を総括することができた。ばん澤歩『鉄道のドイツ史: 帝国の形成からナチス時代、そして東西統一へ』中公新書(2583)2020年。 また、2020年9月27日、鉄道経営史研究会(代表 中村尚史東京大学教授)において旧東独圏の鉄道業について報告(「1970年代までの東独(DDR)国鉄・ライヒスバーンの経営問題: 西ベルリンSバーンの事例から」)をおこない、議論した。この研究会での議論により、国内所蔵史料の利用による研究進捗の可能性を得られた。 これらの成果を踏まえ、発展させることによってより現代に近い時期のドイツ鉄道史研究に進み、その成果として以下を出版した。ばん澤歩『ふたつのドイツ国鉄: 東西分断と長い戦後の物語』NTT出版、2021年3月。以上の業績から、当初研究の主眼であったグローバル・ヒストリーの視点からドイツ(ドイツ語圏)の鉄道業の発展とその社会経済史的含意について明らかにする概観を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は本科研の初年度にあたるが、新型コロナウィルス感染症の影響で、研究活動の柱となるべき海外渡航による史料調査や国内外での研究成果報告の予定変更(中止)があいついだ。予定していたドイツ連邦共和国における史料調査をすべて中止せざるを得なかったことで、当初予定した20世紀ドイツ交通省の人事記録へのアクセスができず、学術的な報告ないしそれを発展させた論文の形での成果を得ることが遅れている。 その後、国内研究会において示唆をうけた交通協力会における在独日本鉄道官吏・職員の記録を主要な史料とすることにやや方針を変更したが、国内における出張の自粛の影響を受け、必要な史料調査に齟齬をきたしている。 今後は国内外資料のオンラインによるアクセス
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Strategy for Future Research Activity |
国内(東京など)出張が可能になった時点で、上記公益財団法人交通協力会所蔵の文書・資料を利用し、二十世紀同時代日本人鉄道業関係者の視点から近現代ドイツ鉄道の動向を確認し、報告・論文としての作成を進めたい。 出張などの移動に支障をきたしている現況が続くことが予想されるため、国内外のオンライン上の公開資料の利用を中心に、調査を進めていく。 今後は国内外資料のオンラインによるアクセスの可能性を模索し、史料探索と活用の幅を広げていく。 それらの成果は学術論文ならびに啓蒙的著作の形で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していたドイツ連邦共和国・連邦公文書館などベルリン市・ニュルンベルク市などでの海外史料調査(少なくとも2回)ならびに学会報告、国内史料調査(東京、名古屋など)の計画を、新型コロナ感染症の世界的流行というほぼ不測の事態によって変更(中止)せざるをえなかったため、予定金額の多くを次年度使用額として計上することになった。 今後のコロナ流行による移動制限の解除により、国内外での史料調査費用として使用したいと考えている。 また史料調査のオンライン化や勤務形態の変化にともない、PCの使用頻度が高まるとともに機能の高度化、印刷などの機材の研究室以外での必要も高まるため、本研究において特に必要な一連の情報関連の機材購入も視野に入れている。
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Research Products
(4 results)