2021 Fiscal Year Research-status Report
ヴァイマル期ドイツにおけるマクロ経済分析の発展とヴァーゲマン・プランに関する研究
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20K01792
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
雨宮 昭彦 東京都立大学, 経営学研究科, 客員教授 (60202701)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 景気変動論:景気循環論 / 貨幣論 / 短期的変動、長期的トレンド / 経験的・帰納的:演繹的 / 統計的・数学的 / ハーバード・バロメーター / 貨幣のノミナリズム / 貨幣・信用改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者は2020年10月に発表した論文「エルンスト・ヴァーゲマンまたはワイマール期ドイツにおけるマクロ経済学的分析の発展」において、ヴァーゲマンの二つの著書、『景気変動論』(1928年)と『景気変動論入門』(1929年)を分析し、以下の論点を明らかにした。 レプケらの反経験的な景気循環論の演繹的立場とは異なり、国家統計局長であり、またベルリン大学教授で、自らが創設した景気研究所の初代所長でもあったエルンスト・ヴァーゲマンは、景気変動論の立場から、経験的・実証的・数学的に1920年代のドイツ経済を分析した。研究所はリベラルコーポティズムを支持母体としていた。ヴァーゲマンは、当時のドイツが置かれた「金の束縛」から距離をおき、アメリカのハーヴァード・バロメーターの手法に手がかりを得つつ、統計調査を踏まえて景気変動カーブを抽出し、その分析に基づいて不況期の「通貨・信用改革案」を訴えたが、それは、金に束縛されたライヒスバンクをはじめとする当時のドイツのエスタブリッシュメント、またレプケらのアカデミズムの強力な反対に出会って挫折した。 ヴァーゲマンの経済分析は、経済調査研究の方法のみならず、貨幣を「広義流動性」と把えること、経験的分析に基づいて「三面等価の原則」(所得=価格=生産費)を導出したこと、長期トレンドと短期変動を区別して、景気循環をごく短期の現象と過ぎないと見たことにおいて、今日のマクロ経学の先駆とみなしうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年5月に脳出血で倒れて5か月間入院生活を送り、退院後も体調がなかなか回復しなったため、2021年3月に論文を発表したのを最後に、具体的研究成果を上げることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ヴァーゲマンの貨幣論(Was ist Geld?)を読み進めており、この著作の紹介・分析を中心に議論を深めて行きたい。 研究計画上の変更は特にない。
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Causes of Carryover |
書籍、記憶媒体、パソコンなどの購入が必要なため。
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