2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K01812
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
沼田 郷 青森大学, 総合経営学部, 教授 (10398977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 雄司 日本大学, 経済学部, 准教授 (10551004)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光学産業 / 光学技術 / 国際移転 / 技術蓄積・移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、本研究で設定した第一の課題「技術の受け手」という側面に着目した研究活動を展開した。とりわけ、光学技術が国内でどのように習得・蓄積され、光学産業の形成、発展に寄与したのかについて、現地での資料収集およびインタビュー調査を行った。 従前の研究において、第二次大戦後間もなくは、東京周辺の他に諏訪・岡谷地域に光学産業が形成されていたことが明らかになっている。一方、同地域を起点とした光学産業の更なる展開に関する研究は、一部地域(伊那地域)を除き、十分に行われているとは言えない。そこで、光学メーカーO社の坂城工場(長野県埴科郡坂城町)を対象とする調査活動を実施した。ここで明らかになった点は、坂城工場をO社の岡谷工場を中心(人材、技術)として立ち上げたこと、レンズ生産を主とする工場であったことである。また、O社における企業内分業と海外拠点を含む企業内国際分業の変遷について明らかにする見通しがたった。今後はO社へのインタビュー調査を実施し、その成果を本年度中に論文としてまとめる。 研究分担者は、学会報告を中心に以下の点を明らかにした。日本での互換性・精密度の担保はいつ頃いかにして光学産業では進められてきたのかを探るため、キヤノン(精機光学)に次いで二番目にライカ型35㎜判カメラを製造した中川幹三(のちの昭和光学)の手記をもとに考察した。ライカの模倣は日中戦争開始による輸入品途絶といった市場の空白を狙った大手卸商美篶商会や中堅小売商宮川商店による出資によって進められ、部品製造はまず腕の立つ職人を集め現場合わせでのライカのデッドコピー製造が目標とされた。手記にもあるようにいかに精密度を担保するかは当時の職人にも共有されていたが、それは量産を意識したものではなかった。いずれにせよ、距離計は模倣できず戦前期の日本のレベルはデッドコピーも難しかったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、光学産業の国際移転を明らかにすることを研究課題の一つに設定しており、東アジア地域での資料収集およびインタビュー調査を計画している。しかしながら、新型コロナ感染症の影響を受け、当初に予定していた海外での調査活動が実施できないことが「遅れ」の要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究活動の「遅れ」の要因は、海外での調査活動が実施できていないことに起因している。新型コロナ感染症の状況は落ち着きつつあり、可及的速やかに海外での調査活動を実施し、「遅れ」を取り戻すことに専心する。
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Causes of Carryover |
予定していた調査活動が実施できなかったため。とりわけ、海外調査が実施できなかったことが最大の要因である。 本年度は、可及的速やかに海外調査を中心とした調査・研究活動を実施する。
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Research Products
(1 results)