2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K01813
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
小西 恵美 専修大学, 経済学部, 教授 (90338583)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 19世紀半ば / ハイ・ストリート / 買い物通り / ベリ・セント・エドマンズ / 新聞広告 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、1850年代のベリ・セント・エドマンズを中心に、ノッティンガム、イプスウィッチ、キングス・リンの情報も合わせ、買い物通り分析を進めるために必要な情報を、センサスと数紙の新聞の広告から収集し、ハイ・ストリートの店舗分布地図を作成した。ベリ・セント・エドマンズとキングス・リンの分析は予定通りに進んでいるが、ノッティンガムとイプスウィッチは遅れが出ている。 ベリ・セント・エドマンズに関しては、以下のファインディングがあった。まず、1841年から1901年のセンサスを使うと、ハイ・ストリートの店舗占拠者が、いつ、どこからハイ・ストリートに移入し、いつ死亡、もしくは別の場所に移出したかというターンオーバーが見えてくる。ハイ・ストリートへの転入は、必ずしもある程度のビジネスの成功者で店舗運営資金をもっている者が行うというわけではなく、多くが若い時期に転入をし、商売が維持できる間はそこにとどまることもわかった。短期で出て行く者もいる一方で、何十年もハイ・ストリートにとどまり、中には息子に店舗を継承する者もいた。 次に、新聞広告からは詳細な営業情報や取り扱い商品の情報が集められるが、それらをもとに、どの程度の規模の店舗を経営しているのか、同じ職種の店舗であっても多様なタイプがそろっていたことが見えてきた。人名録上では異なる種類の商品を扱っているように見える店舗も、実はかなり重複する商品の扱いがある場合も多いし、職業名からは想像しにくい商品を販売していることも見えた。また、人名録1850年代のイギリスの都市のハイ・ストリートは、伝統的な店舗から近代的な店舗への過渡期にあり、両方のタイプが併存していたことがわかる。 研究成果と発表に関してはは、昨年度は9月と3月に二度のワークショップで中間報告を行った。それらの報告をもとに、論文を1本仕上げる予定であったが、まだ書き終わっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染の影響で海外出張ができないこと、海外研究者を招聘する見通しが立たないことが研究遅れの最大の理由である。当初の4年間の計画そのものを延期する必要がありそうである。しかし、オンラインで集めることができる資料を使いながら、データベースの蓄積と分析に関しては着々と進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も、昨年同様に、データベース構築を継続的に進めていく。センサスや人名録のデータ入力は、当初は学生アルバイトを使う予定であったが、コロナ渦で対面での指示が学生アルバイトにできないこともあり、当分の間は私自身で行うことにした。とくに力を入れるのは、新聞広告を中心とした分析である。ベリ・セント・エドマンズとキングス・リンの今までの成果から、ある程度の規則性は見えてきたが、それが他のタイプの都市(工業都市)でも同様に言えるのかどうか、イプスウィッチとノッティンガムのデータ入力も積極的に行うことで比較研究を進めていきたい。 海外研究者(マンチェスターメトロポリタン大学のジョン・ストバート教授)の招聘に関する打ち合わせも進める。コロナの状況を見ながら日本に来てもらう計画も進めるが、その前に、まずはオンライン研究会を開催するところから始めることを考えている。私の渡英計画は今年度夏にはまだ難しそうに思われるので、引き続きオンラインでアクセスできる資料を調査する必要がある。店舗や通りの情報を含む資料には、今まで利用してきたセンサス、人名録、新聞広告に加え、地図が重要である。ベリ・セント・エドマンズの地図は、古代・中世から現代に至るまでのいくつもの地図を地方史家がホームページにアップしてくれているが、他の都市でも同様の地図を様々なソースから集める必要がある。 まずは、昨年9月と今年3月にワークショップで発表した内容をもとに、論文の形でまとめる予定である。その他、あらたに研究を進めた分に関しては、小さめの研究会で報告を行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、研究調査や研究会報告のために国内出張をすることを控えたこと、海外研究協力者を日本に招聘する計画の見通しがたたず、ストップしてしまったことから、それに関連する支出もなくなったことがあげられる。データ入力等の学生アルバイトも、学生を研究室で作業をさせられないことから自力で作業を行ったことが、支出減の要因である。 今年度は国内出張は再開するものの、海外研究者の招聘や資料調査のための海外出張に関しては見通しがきかないため、計画全体を1年延長することも視野に入れ、無理な資金の使い方をしないつもりである。また、現地での史料調査の代わりに、オンラインデータベースを積極的に使うため、その使用料は当初より増額する見込みである。 Macノートブックが壊れかけているので、今年度のできるだけ早い段階での購入を検討している。
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Research Products
(2 results)