2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K01813
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
小西 恵美 専修大学, 経済学部, 教授 (90338583)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 19世紀半ば / ハイ・ストリート / 買い物通り / ベリ・セント・エドマンズ / キングス・リン / ノッティンガム / 新聞広告分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、買い物通り(メインストリート)の情報を新聞広告やセンサス、人名録から収集し、買い物通りの店舗に関するデータベースの作成を行った。昨年までは1850年代のものだけだったが、今年度は1840年代~60年代までに広げ、ベリ・セント・エドマンズ、ノッティンガム、イプスウィッチ、キングス・リンの買い物通りの分析を進めた。 1830年代以降、1880年頃にデパートが出現するまでの間、買い物通りは年々変貌を遂げていく。1840年代~60年代だけを見ても変化が見られたが、新聞広告もそうした変化を示し、新たなサービスを提供する店舗が出現する。また、1850年代に新聞広告を掲載する店舗の多くはハイ・ストリートに立地していたが、1860年代以降になるとその他の通りの店舗の広告掲載の割合が高くなってくる。新聞広告を出す傾向にある店舗に大きな変化はなく、奢侈品を中心に取り扱うものが多いが、そうした店舗が都市の中でハイ・ストリート以外にも広がっていったからと思われる。ただ、ハイ・ストリートに立地する店舗の情報を集める手段としての新聞広告がもつ重要性が低くなることがわかった。19世紀後半のハイ・ストリートの再構築には新聞広告以外の資料を探す必要があることもわかってきた。 新聞広告は時期によっても特徴が変化するが、同じ時期であっても、出版地の都市の性格によって特徴は異なる。たとえば、比較対象としている4つの都市の中で、製造業都市であるノッティンガムは製造業者用の機械等の詳細な広告がいくつも出現する一方で、ベリなどで見られるハイ・ストリートの奢侈品店の広告が少なくなっている特徴がある。 ここまでの研究成果を論文としてまとめるつもりであったが、まだ書き終わっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ渦が続いており、夏休みはまだ海外に行かれる状態でなかった。春休みは、仕事の関係で大学を離れることができなかった。初めから予定されていたことではあったが、予想以上の仕事量と拘束がきつく、研究に従事する時間をとれなかった。海外研究者の招聘に関しては、少しずつ話は進めているが、まだ訪日するまでの段階には達していない。研究室からBritish Library Newspaperのデータベースにアクセスし、広告を読み進め分析する作業はコンスタントに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
データベース構築は継続的に進めていく。とくに、ノッティンガムとイプスウィッチの新聞広告とセンサス、人名録の入力には力を入れることで、ベリ・セント・エドマンズやキングス・リンのような社交が盛んなカウンティー・タウンとの比較を行いたい。ようやく学生アルバイトを対面で使える環境になったので、センサスや人名録のデータ入力は学生アルバイトに任せる。 現時点で、1850年代のデータベース(ベリ・セント・エドマンズ、キングス・リン、)はかなりできあがっているので、それらを比較分析した論文を掲載する予定である。また、国内ワークショップ等での口頭での報告も行うつもりである。 海外共同研究者(マンチェスター・メトロポリタン大学のジョン・ストバート教授)とは連絡をとっており、私が渡英するか、彼が訪日するかして、研究の情報交換をするとともに、セミナー開催を考えている。時期は来年の2月あたりを目標にしたい。
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Causes of Carryover |
コロナ渦が続いており、研究調査や研究会報告のための国内外への出張を冬まで一切行っていなかったことが支出が減った一番の要因である。また、海外共同研究者の訪日計画もコロナの影響で具体的にはならなかった。学生アルバイトは、少しずつ仕事をしてもらうようになったが、本格的には使えなかった。 昨年の段階で、すでに研究計画そのものを延長することを決めたので、無理な予算の使い方はせず、必要な分を利用することにした。海外渡航、または海外からの研究者の招聘が可能になったら、余っている分は消化できる見込みである。
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