2022 Fiscal Year Research-status Report
災害によるネットワークの変化と被災した中小企業のイノベーション
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20K01817
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
品田 誠司 東北福祉大学, 総合マネジメント学部, 准教授 (80773077)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 災害 / 社会的ネットワーク / アントレプレナー / 移動 / イノベーション / スタートアップ / 事業承継 / クラウドファンディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の仮説は「災害という特殊状況は新たなネットワークの形成を促し、外部の多様な知識を探索・結合させることで中小企業のイノベーションを促進する」 である。このため、仮説を立証するために、以下の論点を明らかにする。1)中小企業は災害の後に、どのような人材とどのようなプロセスでネットワークを新 たに構築すると、イノベーションが促進されるのか 2)災害後の大手企業と中小企業のオープンイノベーション、中小企業のクラウドファンディングはどのようなプロセスで行われ、どのような利点と問題点が発生するのか、である。 2022年度は前年度から引き続き、起業家・企業家のインタビュー、文献調査を中心にして研究を実施した。特に被災三県の調査では起業とともに、津波等でダメージを受けた企業が新たな事業として、委託事業から自社製品のブランド構築といった事例を通じて新製品開発に取り組み工程を観察できた。また、仙台市のスタートアップ支援部門と連携して震災で誕生した企業に連続してインタビューを行い、震災後10年を経過した時点で、事業継続のためにどのようなイノベーションを行い、それをどのように普及させてきたのかを明らかにした。様々な企業が10年を迎えるにあたり、特に初期の試行錯誤モデルから、継続しつつ常に革新性を維持しながら新たな事業展開や市場開拓を行っている状況を明らかにした。 これらの結果は現在、論文作成中であり、一部は査読中にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
勤務2年目ということもあり勤務先の授業等に不慣れなことや学内事務、コロナに関してインタビュー調査の未実施等、複数の要因からやや遅れている状況となっている。しかし、起業家・企業家インタビューは順調に推移しており、新たな知見を積み増している。 また、研究結果の論文作成にも取り組んでおり、完成したものから各種の学会誌に投稿し一部は査読を受けていると優にある。このように研究の遅れは徐々に取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、引き続き起業家・企業家インタビューを継続するとともに、被災三県の企業について、震災後の事業者交代、すなわち事業承継をキーワードとしながらイノベーションをどのように起こしたか、新たな取引先の開拓等の取り組み、事業、組織変革をどのように実施したかをアンケートによって明かにする。そのアンケートの中から重要な企業を更にピックアップし、デプスインタビューを通じて厚い記述を進めていく。 更に、これらの結果を随時、学会での発表および学会誌への投稿論文としてまとめて最終年度として総括的な結果に結び付けていく。
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Causes of Carryover |
2022年度は予定したアンケート調査について、設計に時間を要した結果、実施には至らなかった。これらのアンケート調査については、委託先と現在あ、十分な検討途上に当たり、6月中には実施する方向で目途がついている。
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