2023 Fiscal Year Annual Research Report
災害によるネットワークの変化と被災した中小企業のイノベーション
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20K01817
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
品田 誠司 東北福祉大学, 総合マネジメント学部, 准教授 (80773077)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 災害 / 社会的ネットワーク / アントレプレナー / 移動 / イノベーション / スタートアップ / 事業承継 / クラウドファンディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の仮説は「災害という特殊状況は新たなネットワークの形成を促し、外部の多様な知識を探索・結合させることで中小企業のイノベーションを促進する」である。このため、仮説を立証するために、以下の論点を明らかにする。1)中小企業は災害の後に、どのような人材とどのようなプロセスでネットワークを新たに構築すると、イノベーションが促進されるのか 2)災害後の大手企業と中小企業のオープンイノベーション、中小企業のクラウドファンディングはどのようなプロセスで行われ、どのような利点と問題点が発生するのか、である。最終年度である2023年度は前年度から引き続き、起業家・企業家のインタビュー、事業承継に重点を置いたアントレプレナーに関するアンケート調査、文献調査を中心にして研究を実施した。
インタビュー調査では、災害後のソーシャルスタートアップのイグジットについて、考え方を整理し、学会発表を行った。従来はソーシャルスタートアップではイグジットの概念は未だ整理されていなかった。更に、災害後にイノベーションを連続して行っている企業に関して、特に両利きの経営をどのように柔軟に実施しているのかについての学会発表を行っている。 また、事業承継に関するアンケート調査やインタビュー調査から、震災後に事業を中止しようとする考え方、事業承継に関してどのようなバックグランドを持つのか、震災を契機として事業承継や類似の状況が発生して、新たな事業を進める事例が一定程度明らかになっており、この内容に関する論文を作成中である。 更に、災害後10年以上を経過した企業が大手企業等とどのような関係性を持つのか、について、大手企業への事業売却という通常のスタートアップのイグジットと同様の事例が発生していることも明らかとなっており、この視点からの論文を作成中である。
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