2021 Fiscal Year Research-status Report
Workplace contextual factors affecting employees help-seeking: A perspective from psychology of working theory
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20K01829
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
道谷 里英 順天堂大学, 国際教養学部, 先任准教授 (00566028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 援助要請 / 職場 / 基本的心理欲求 / 自律性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、職場における援助要請意図に影響を与える職場環境要因と自律性に関する量的・質的研究を実施した。 量的研究としては、自律性の欲求充足が援助要請の予期を介して援助要請意図に影響を与えるモデルを検討した。援助要請は職場におけるプロアクティブ行動の一つである。プロアクティブ行動の促進要因として自律性の欲求充足が指摘されてきたことから、援助要請における自律性の影響を検討した。質問紙調査(N=400)の結果、自律性の欲求充足は、援助要請に対する利益の予期とコストの予期を介して、援助要請意図に有意な影響を与えていた。この関係は、上司への援助要請と、先輩・同僚への援助要請との間で異なっていた。上司への援助要請においては、自律性の欲求充足から援助要請意図への影響を利益とコストの予期が完全媒介する関係だった。一方、先輩・同僚への援助要請においては、利益とコストの予期は部分媒介の関係であり、予期を介さない自律性の欲求充足から援助要請意図への直接的な影響も確認された。このことは、上司への援助要請において、結果の予期の影響が大きく、予期がポジティブに働かない状況では、援助要請が抑制されることを示している。特に、コストの予期よりも利益の予期が援助要請意図に対して強い影響を与えていたことから、利益の予期を高める方策の検討が求められる。なお、本研究の結果は現在、学術論文として投稿中である。 また、質的研究としては、援助要請意図に影響を与える職場環境要因に関して13名のインタビュー調査を終え、現在M-GTAによる分析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染の影響を受け、インタビュー調査協力企業が減少した。そのため、個人的なネットワークを活用して協力者を募り、インタビューを行っており、予定よりも半年程度の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、インタビュー調査の分析結果を学会で発表するとともに、論文としてまとめ投稿する予定である。また、明らかにされた職場環境要因が援助要請意図に与える影響を定量的に検討するための質問紙調査についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の実施が遅れ、また規模が縮小したことから、予定していたインタビュー文字起こしが行われなかった。今後必要な質問紙調査および分析用ソフトの購入に充てる予定である。
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