2021 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者を対象とした「合理的配慮」提供ツールを用いた企業の労務管理に関する研究
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20K01834
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
眞保 智子 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (10341794)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 障害者雇用 / 合理的配慮 / 精神障害者の雇用管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2013(平成25)年の障害者雇用促進法の改正により2018(平成30)年より新たに雇用の義務化がなされた精神障害者に焦点をあて、職場適応に資する労務管理の要諦を明らかにすることを目的としている。法令遵守に厳しい目が注がれる社会情勢の中で、法定雇用率の達成が求められている企業にとって精神障害者雇用に際し雇用管理で求められる事柄の整理とその対応策の構築は喫緊の課題である。 精神障害のある労働者の障害特性である体調の「波」の底にある「不安」「不信」「自己と他者への不満」「焦燥」、おさまっていたものが一時的に強く表れる「幻聴」「幻臭」などを抱え、気軽に相談できる人がいないと孤立感を高め、さらに状況が悪化してしまう。こうした悪循環に陥る前に体調の「波」の変調を自らと職場の上司とが客観的に捉えられるツールが必要と考えた。企業の人事担当者、支援機関の就業支援員、弁護士と研究者から助言を得ながら本研究代表者が開発したツールが「RP:reflection paper」である。これを企業で試行し、精神障害のある労働者のマネジメントに資する雇用管理の仕組みの調査を行う計画であった。 COVID-19感染拡大による休業や在宅勤務など企業内での勤務形態と職場環境の急激な変化によりツールを試行することができなかった。このため精神障害者の不安定要因発生の可能性を把握する項目について精査を行うとともに、現在のツールはオンライン勤務環境下では運用が難しい点について改善するための検討を行い、web上で動作するツールを開発するための業者選定を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
精神障害のある労働者の障害特性である体調の「波」の底にある「不安」「不信」「自己と他者への不満」「焦燥」、おさまっていたものが一時的に強く表れる「幻聴」「幻臭」などを抱え、気軽に相談できる人がいないと孤立感を高め、さらに状況が悪化してしまう。こうした悪循環に陥る前に体調の「波」の変調を自らと職場の上司とが客観的に捉えられるツールが必要と考えた。企業の人事担当者、支援機関の就業支援員、弁護士と研究者から助言を得ながら本研究代表者が開発したツールが「RP:reflection paper」である。これを企業で試行し、精神障害のある労働者のマネジメントに資する雇用管理の仕組みの調査を行う計画であった。 COVID-19感染拡大による休業や在宅勤務など企業内での勤務形態と職場環境の急激な変化によりツールを試行することができなかった。このため精神障害者の不安定要因発生の可能性を把握する項目について精査を行うとともに、現在のツールはオンライン勤務環境下では運用が難しい点について改善するための検討を行い、web上で動作するツールに改修するための開発を業者と行う。 22年度はツールを改修し、COVID-19感染拡大下においても企業に施行を受けていただけるように研究代表者が副理事長をしているNPO法人障がい者ダイバーシティ研究会(障害者雇用を行っている日本を代表する企業の特例子会社を中心とした企業30社が会員)企業において試行する。
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Strategy for Future Research Activity |
改修したツールで22年度は、COVID-19感染拡大下においても企業に施行を受けていただけるように研究代表者が副理事長をしているNPO法人障がい者ダイバーシティ研究会(障害者雇用を行っている日本を代表する企業の特例子会社を中心とした企業30社が会員)で研究会を組織する。 COVID-19感染拡大による休業や在宅勤務など企業内での勤務形態と職場環境の急激な変化によりツールを試行することができなかった。このため精神障害者の不安定要因発生の可能性を把握する項目について精査を行うとともに、現在のツールはオンライン勤務環境下では運用が難しいため業者とともにweb上で動作するように改修を行い、試行する。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大による休業や在宅勤務など企業内での勤務形態と職場環境の急激な変化によりツールを改修する必要が生じたため、試行することができなかったため次年度使用が額が生じることとなった。 <使用計画> 約170万円:システム改修費 約70万円:試行協力企業への協力金他 約30万円:消耗品費
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