2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K01836
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| Research Institution | Waseda University |
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Principal Investigator |
長谷川 信次 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90218446)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 悟 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20207096)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 多国籍企業 / 立地ポートフォリオ / グローバルサプライチェーン / covid-19 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、多国籍企業による活動拠点の立地決定とその経時的変化を、多数の海外拠点の組み合わせで構成される立地ポートフォリ概念を用いて、ポートフォリオの選択と管理の視点から明らかにするものである。立地ポートフォリオを構成する各国の活動拠点は、従来は独立の関係としてみなされてきた。しかしフラグメンテーションの進展とICTの活用により、バリューチェーンが国境をまたいで展開され、グローバルな生産ネットワークが構築される今日、活動拠点はバリューチェーンのなかに組み込まれ、中間財取引を介して相互依存の関係におかれる。そうした拠点間の取引関係をポートフォリオ構築・再構築のなかで記述していくことの必要性を明らかにした。
2020年初に発生したCovid-19パンデミックは、ソーシャルディスタンシングや感染者および濃厚接触者の隔離により、世界中の国々で多くの人たちの経済活動や消費活動への参加を妨げ、供給と需要の複合ショックが発生した。グローバルな生産ネットワークを構築する多国籍企業にとって、物流と人流の停滞によりサプライチェーンの寸断に加え、サプライチェーン伝染を通じて経済ショックが一国レベルを超えて増幅するメカニズムを明らかにした。こうしたなかで、立地ポートフォリオの組み換えが、従来のオフショアリング戦略から方向転換して、サプライチェーンの短縮化（ニアショアリング、リショアリング、戦略的自立性）、冗長化（バッファー化／複線化）、ガバナンス構造の見直し（戦略的内部化）、環境コストの内部化に向けて、急速に見直しが進みつつあることが確認された。またサプライチェーン寸断リスクとして、Covid-19の収束見通しの不確実性だけでなく、再興・新興感染症の発生、さらには地政学的リスクの高まりから、種々のリスクを想定したレジリエンスの向上が、多国籍企業の立地決定に大きな影響を与えることを明らかとした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナパンデミックによる事実上の国境封鎖、国内の移動制限の影響で、分析枠組みを確定するために予定していた企業へのヒヤリング調査の実施が大幅な制約を受けた。また現下のパンデミックが引き起こした経済ショックとサプライチェーン寸断リスクは、本研究課題である多国籍企業の立地決定に決定的な影響を及ぼす。したがって立地決定のメカニズムとして当初想定していた分析フレームワークへの修正も必要となった。
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| Strategy for Future Research Activity |
新型コロナパンデミックの収束が見通せない中、今後も国境封鎖や国内の移動制限がしばらく継続することが予想される。したがって、昨年度に引き続き、統計書やデータベース、各種資料など、文献調査を中心に、分析枠組みの確立とモデルを構成する主要概念の抽出／特定化作業を進めることがメインとなるであろう。国内の研究分担者および海外の研究協力者との共同研究および協議・意見交換については、オンラインミーティングツールを用いて進める。成果発表についても、オンライン開催の国際学会やシンポジウム等での報告や、雑誌への投稿を通じて行う予定である。
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| Causes of Carryover |
現在までの進捗状況欄に記したとおり、Covid-19パンデミックにより当初計画から調査方法が大きな変更を余儀なくされ、また分析枠組みの見直しの必要が生じたことから、次年度使用額が生じた。2021年度研究計画において分析枠組みの見直し作業を実施して、遅れを取り戻す予定である。
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