2020 Fiscal Year Research-status Report
公正世界信念が公務員の政策認識に与える影響に関する実証的研究
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20K01838
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Research Institution | Gifu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
水野 和佳奈 岐阜協立大学, 経済学部, 准教授 (50458113)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公正世界信念 / 公務員の職務意欲 / PSM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、公務員の職務認識や政策認識のメカニズムを解明することである。最終的には、公正世界信念と公務員の政策認識の関係の解明を目指している。初年度(2020年度)は先行研究の調査と分析モデルの設計を行い、次年度以降(2021年度以降)に実証分析を行うことを計画している。 上記のような計画のもと、2020年度は、公正世界信念に関する先行研究を詳細に調査し、公務員の労働意欲に関する新しい研究成果についても追加調査を行った。また、実証分析のモデルを精査するため、心理学の関連研究についても調査を行った。これらの先行研究の調査を踏まえ、分析モデルに必要な変数や変数間の関係を整理することができた。 さらに、本研究の研究課題の1つである「公務員の職務意欲と職務認識」に関する分析として、「公務員の職務上のミスに対する認識」の要因分析を行った。具体的には、公務員の職務上のミスに対する認識(公務員の職務上のミスを問題だと考えるかどうか)は労働者の公的活動の意欲(Public Service Motivation; 以下、PSM)と関わるのか、あるいは所属するセクターと関わるのか(公務員か民間職員か)について、予備調査のデータを用いた実証分析を行った。実証分析の結果、行政の職務上のミスに対する認識は、労働者個人の公的活動の意欲(PSM)の高低ではなく、労働者が所属するセクターの違いと関連していることが明らかになった。これらの研究成果は論文にまとめ、「行政の職務上のミスに対する労働者の認識に関する実証分析」として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は公務員の職務認識や政策認識のメカニズムの解明を主目的とし、最終的には、公正世界信念と公務員の政策認識の関係の解明を目指している。研究の計画として、初年度(2020年度)は先行研究の調査と分析モデルの設計を行い、次年度以降に実証分析を行うことを予定していた。しかし、2020年度は当初予定していた先行研究の調査とそれに基づくモデルの検討に加え、応用的なテーマではあるものの、予備データを用いた実証分析も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、予備調査のデータを用いたモデルの検証とアンケート準備を行う。申請者は本研究の予備調査としてこれまで、公私組織の職員を対象としたアンケート調査(2018年実施、データ数は約2000)を実施している。これらのアンケート調査を用いて、今年度検討した、公務員の公正世界信念と職務意識に関するモデルを検証する(実証分析)。この分析により一定の成果を得られる予定である。分析結果は人的資源管理への応用可能性(本研究を踏まえた政策提言)と合わせて論文にまとめ,発表する。上記の作業と並行して,実施対象である岐阜県大垣市と調査実施に向けた協議を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度は公正世界信念や労働者の労働意欲等に関する先行研究および実証分析の方法について、他大学や研究会での情報収集を予定していた。しかし新型コロナウィルスの感染拡大により、調査目的の出張を見合わせた。また、出席予定の学会や研究会がオンライン開催となったこともあり、そのための出張が不要となった。これらの費用は2021年度の調査費用(論文の購入費用等)に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)