2022 Fiscal Year Research-status Report
タイ・中国の日独企業の技術者コミュニティの両利き戦略とAIによる車開発の現地化
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20K01843
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
朴 泰勲 関西大学, 商学部, 教授 (50340584)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 技術者コミュニティ / 両利きの戦略 / AI開発 / 自動車の電動化 / ネットワーク構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で中国のゼロコロナ政策により中国での調査が難しかったので、その代わりに、韓国の自動車産業の技術者コミュニティとそのネットワークについて調査した。韓国の現代自動車は電気自動車の開発とガソリン自動車の開発を同時進行的に行う両利きの戦略を展開してきたが、徐々に電気自動車の開発の割合を高めていることが分かった。このような電動化の進展により、従来のガソリン自動車用のエンジン部品や廃棄ガス用の部品を生産する部品メーカーの売り上げが落ちており、自動車部品産業は大きな構造転換期を迎えている。現代自動車は従来のメカ系部品や樹脂部品を生産してきた部品メーカーに対し、ソフトウェア開発や電気部品の開発ができるように、電気自動車と関連する様々な部品の開発プロジェクトを提案し、ソフトウェアや電気部品の開発ができるように事業転換を促している。この際に、部品メーカーは地方自治団体が設立した自動車技術研究所の実験設備を活用しながら、研究所の研究員とコミュニティを形成し、自動車の電動化と関連する事業転換と新製品開発を進めている。現代自動車は車両開発におけるデザインや自動運転にAIが活用されつつあることが明らかになった。特に、社内でAIプラットフォームを構築し、自動車開発のデータ蓄積と処理、道路走行のデータ、車両内の音声サービスなどにクラウドを基盤とする社内の共同作業が進んでいることが分かった。自動車産業の技術者コミュニティの両利き戦略について調べた結果、車の電動化が進むつれ、これまで機械技術や成形技術を中心に形成されてきた技術者コミュニティに変化が起きていることが調査で分かった。技術者コミュニティの中で、科学論文と特許出願を同時に行う社内技術者は両利きの戦略を進めるうえで、上位階層にある統合的知識と下位階層にあるモジュール的な知識を効率よく組み合わせる役割をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、中国調査を計画していたが、中国政府のゼロコロナ政策により現地調査ができなかった。令和5年に入り、ゼロコロナ政策は終わったが、まだ現地の状況の様子を見ている状況が続いている。中国調査については、コロナにより三年間絶えた人的ネットワークの再構築が必要である。タイの調査は現地にある日本の子会社とアポが取れず、調査ができなかった。中国とタイの代わりに、韓国の自動車産業における技術者コミュニティのネットワークの調査ができた。令和5年の調査では、20年ぶりに韓国国内で設立された自動車生産の委託会社である光州グローバルモータース、韓国アルプス電気、韓国自動車技術研究所などを訪れ、自動車の電動化に関する調査が行われた。光州グローバルモータースでは電気自動車の生産ラインを新しく設置する工事が盛んに行われており、韓国アルプス電気も電気自動車用のセンサー開発に力を入れていることが明らかになった。従来の電気系統の部品を開発している部品メーカーは業績が上向いているため、さらに電気自動車関連技術に投資している。光州自動車技術研究所と産学融合院の調査で自動車の自動運転のシミュレーションソフトなどにAIが使用され、様々な実験が行われていることが分かった。また、技術者コミュニティに参加している技術者や企業内研究は、公的自動車技術研究所や実験施設で様々なネットワークを構築し、情報を交換している。このような技術コミュニティのネットワークについて韓国の全南大学のAI融合大学知能型モビリティ融合専攻の李チョンファン教授と共同研究を進めている。光州産学融合院とグリーンカー振興院の技術者と人的ネットワークも構築でき、今後の研究活動に活用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍でできなかった中国調査を実現するため、できれば中国で開かれる自動車産業関連の学会に参加する予定である。また、自動車の電動化と関連し、知的コミュニティの組織内外の連携について調べるため、韓国の自動車技術関連の学会にも積極的に参加し、大学と企業の研究者との連携が学際的な知識の活用にどのような影響を及ぼしているのかについてインタビュー調査を行う考えである。科研の最終年度になるので、調査結果を国際ジャーナルに投稿するため、仮説や論文の構成に修正を加える。開発期間の短縮と品質向上に関する知識とノウハウを効率よくデータ化し、AIの機械学習の活用を通じて開発と部品調達の現地化ができるのかについて仮説構築する。ドイツのブランデンブルク工科大学のサラチュック講師との人的つながりもあるので、論文の共同執筆を行っている。韓国の友石大学の朴ソクジェ教授と一緒に中国の自動車産業に関する調査を行う計画を立てている。日本国内では、トヨタと日産系の部品メーカーの技術者コミュニティについて調べた後、パイソンを用いて、特許の引用データ、科学論文の先行研究サーベイ情報、本社と海外子会社のAIとIoT技術者の特許共願と論文共著に関するデータを収集し、マクロデータ分析も行う。また、AIが企業戦略に及ぼす研究を継続するため、AIのアルゴリズムとコーディングについても研究を継続的に進め、自動車の電動化が今後どのような方向へ進むのかについて知識を深化していくつもりである。IoTと連携したネットワーク化に関する研究を進めるため、アンドロイドベースと異OSに同時に使用できるFlutterの活用とコーディングについても調べている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外調査と国際学会の参加が難しくなり、次年度使用額が発生した。令和5年度からは対面調査も可能になっているので、夏休みや冬休みに中国や韓国調査を積極的に進め、予算を使用する予定である。また、アセアン市場の電動化についても調査するため、令和5年の8月にタイやベトナムの自動車部品メーカーを訪れる。科研の最終年度になるので、成果を発信するため、国際学会に積極的に参加する。この際に、コロナ禍で途絶えた海外の研究者との連携を再構築することに力を入れる考えである。予算の多くは、海外調査と国内外の学会参加費や旅費、論文の英訳料やデータ整理の費用、最終年度のアンケート調査費として使用する計画である。さらに、大量のデータを活用する際に必要とされる備品としてサーバー用のパソコンも購入する。データの入力に必要なアルバイトの雇用にも予算が必要である。
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