2021 Fiscal Year Research-status Report
Value chain and inter-firm division of labor during the transition in the electrification of the automotive industry - Comparison between Japan, China and Korea-
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20K01856
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
李 在鎬 広島市立大学, 国際学部, 教授 (40342133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 実 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (00405507)
菊池 航 立教大学, 経済学部, 准教授 (00710724)
富山 栄子 事業創造大学院大学, 事業創造研究科, 教授 (40449426)
塩地 洋 鹿児島県立短期大学, 学長, 学長 (60215944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 車載2次電池 / 電池セル / 電池パック / 垂直的分業 / 水平的分業 / 製品アーキテクチャ / モジュラー / 日中韓 |
Outline of Annual Research Achievements |
実施計画に依拠し、令和3年度には、日中韓における2次電池のバリューチェーンを整理し、電動車両メーカーと2次電池メーカー間の分業体制の相違点について、比較分析を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 第一に、初期の日系車両メーカーと日系電機企業間では、電池セルから、電池パック(複数の電池セルと電池の充放電を制御するバッテリーマネジメントシステムが集成化した部品単位)に至るバリューチェーン範囲において強い関係にも基づいた垂直的分業が行われていた。しかし、近年日産は車載電池の外注化を強化し、水平的分業に転じているのに対し、トヨタはパナソニックとの電池パック合弁企業を子会社化した上で、電池セルにおいてもパナソニックとの合弁企業を立ち上げ、両者が一体となり、車載電池事業を展開することとなった。即ち、一定の分化がみられる。 第二に、初期の韓国電池企業と欧米車両メーカーとの間では、電池セル中心の水平的分業が行われていた。この電池セル中心の水平的分業は、電池セルのモジュラー性に適合的という見方もある。しかし、近年韓国電池企業も電池パックで取引を行うケースが増えている。 第三に、中国は国策として車両の電動化を進めてきたが、同時に車載電池への先行投資に傾注したことから、早い時期から水平的分業の基盤が形成された。加え、民族系車両メーカーの中には、車載電池に関する技術を十分有する企業が少ないことから、有力な電池企業と民族系車両メーカー間で、電池セルのみならず、電池パック中心の水平的分業も広く観察される。このような結果は、経営実践においては製品アーキテクチャ上の整合性以外の外部要因も大きく働いでいる可能性を示唆するものである。 以上の発見事実とその学術的含意について、著書(共著)、論文、国内外学会で研究報告、講演会の形で発表し、研究成果を積極的に社会に還元してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パンデミックの長期化により、海外実地調査を遂行する上で支障がでていることから、当初の研究計画と照らし合わせば、やや遅れている状況と判断する。 一方で、オンラインでの調査や一部有料データーベースを活用することで、大きな調査研究の空白を避けることができた。 また、当初の研究計画に掲げた目標である、日中韓での車両メーカーと電池企業との分業関係の相違点の析出を一定程度達成しており、広義のバリューチェーンという独自の分析フレームワークに依拠し、その分析結果の学術的含意について関連先行研究とのコンテキストの中で、提示することができた点は大きな収穫といえる。 また、代表研究者と共同研究者の多くが積極的に研究成果を出してきたことから、進捗状況としてはやや遅れているものの、効果的な研究活動を遂行してきたといえる。 代表研究者は、当該年度の間、著書(共著、英文)1点、学会報告3回(全国大会)、招待講演会1回の実績は挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研費研究の最終年度に入り、延期してきた海外実地調査の再開の可能性を打診しつつ、これまでの研究実績をまとめていく。同時に、オンライン調査をより積極的に試みる。 研究成果については、定評ある学会誌に査読付き論文として一点以上、掲載できるように努める。 また、車載2次電池の広義のバリューチェーンという分析枠組みを採用していることから、これまでの主要な分析対象であった、車両メーカーと電池メーカーとの分業関係の解明の過程で、新たに浮上した研究課題である、廃車載電池の再資源化の物流と商流における車両メーカーと電池企業とのかかわり方についても理解を深めるよう、分析範囲を拡張していく。
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Causes of Carryover |
パンデミックの長期化のために、海外現地調査が不可能となったために、旅費の執行ができなかった。渡航に関する国や所属機関の方針を遵守しつつ、2022年度に海外現地調査を再開する。
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Research Products
(30 results)