2023 Fiscal Year Research-status Report
A Theoretical Study on the Quantity and the Quality of Employment for Persons with Disabilities - Lesson from Sweden
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20K01865
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福島 淑彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80367680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 障害者雇用 / スウェーデン / 特例子会社 / 雇用の量 / 雇用の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、障害を持つ労働者(以下、「障害者」と記す)の「雇用の量」と「雇用の質」を実現させる障害者の特性にマッチした職種、働き方、さらには人事管理制度を導出することである。本研究は4つのフェーズから研究を進めている。つまり、(I) 日本の障害者雇用に関する実態調査、 (II) 障害者雇用に関する先行研究に関するサーベイ、(III) スウェーデンの障害者雇用に関する実態調査、(IV)障害者の能力を最大限に引き出す職種と人事管理制度に関する理論研究、である。 2023年度は(I)、(III)、(IV)に関する研究を終えるべく特に重点を置いて研究を行った。(I)については、2023年6月1日時点で598社ある特例子会社の特性を一般化する作業を試みた。しかし個々の特例子会社の公開情報は限られており、特例子会社の特性を一般化できるほどの情報は公開されていない。そのため、障害者雇用を積極的に行っていると思われる特例子会社を10社程度抽出し、それらの特例子会社に対して、雇用している障害者の賃金水準、福利厚生、人事管理制度に関して訪問インタビュー調査とアンケート調査を行った。しかし、非常にざっくりとした回答を得ることができただけで、「雇用の質」を検証できる程の詳細な情報を得ることはできなかった。障害者雇用を積極的に行っている特例子会社の状況がそうであるので、それ以外の特例子会社についても同様な状況であろうと想像できる。つまり、(I)についてはどのように情報を獲得したらよいのか行き詰っている状況である。(III)については、障害者雇用促進のために設置されているスウェーデン企業Samhallに対して、2023年8月に現地での聞き取り調査を行い、研究を進めるのに十分な情報を得ることができた。(IV)についても、理論モデルに関する論文を執筆し、国際学会での発表を複数回行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本の特例子会社の障害者雇用に関する詳細な情報が入手困難であるため、「雇用の質」に関する量的な検証はほとんど進んでいない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 特例子会社での障害者の「雇用の質」に関する詳細な情報収集の手立てを考えでデータ収集に努める。 (2) 障害者を多く雇用しているスウェーデン企業から、障害者雇用の「量」と「質」を高めている要因分析を行うことができるだけのデータ収集を行う。 (3) (1)及び(2)で収集した情報・データを用いて、障害者の「雇用の量」と「雇用の質」に影響を与える要因の特定を計量的手法を用いて試みる。 (4) 障害者雇用と社会厚生に関する理論モデルの拡張と精緻化を試みる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、2020年度から2023年度に計画していたスウェーデン企業へのインタビュー及びアンケート調査を十分に行うことができなかったため。
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