2022 Fiscal Year Research-status Report
地政学リスクがもたらすグローバル生産・調達ネットワークの変貌と戦略的提携
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20K01867
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
具 承桓 京都産業大学, 経営学部, 教授 (20367949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不確実性 / グルーバル・サプライチェーン / 地政学リスク / GSCM / EV / 自動車産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日韓自動車及び部品企業を対象に国際比較の観点から,企業を取り巻く外部環境要因としての地政学リスクが、グローバル生産ネットワーク(GPN:Global Production Network),グローバル・サプライチェーン(GSC)の形成・構築・変貌にもたらす影響と、技術統合期における戦略的提携関係にもたらす企業行動(戦略的対応)のパターン,そのメカニズムなどについて明らかにすることである。 2022年度も依然として新型コロナ感染による影響を受け,計画通りに調査や実績を上げることができなかったが,一部事案において韓国の現地企業調査を行うことができた。また,研究成果の一部を論文や研究会などで発表した。また、韓国企業調査は,2019年のホワイト国家対象から外れた韓国企業や政府の対応や日本企業の行動,その成果について調べた。そこで,ある程度明らかになったのは以下の通りである。第1に,現在の米中対立による新冷戦時代でも,グルーバル化の動きが止まることはなく,自国優先主義の中で,これまでとは異なるサプライチェーンの再編とリセットが行われつつあること。第2に,企業のサプライチェーンのリセットの際、影響要因はもはや経済論理ではなく,各国の政策や制度,規制の重みが大きくなっていること。第3に,表向きの政治・軍事的対立と必ずしも一致しない方向で,企業行動がとられており,長期的な観点からみて企業の不確実性への対応戦略の重要性が増していること。具体的な研究成果としては、論文「現代自動車グループの事業システム構築プロセス」(一橋ビジネスレビュー,2023,春号)を,そして「韓日の未来モビリティへの取り組みと現状,そして共創の可能性探索」「デジタルイノベーション時代の病院経営とオペレーション」「地政学リスクとサプライチェーンマネジメントのレジリエンス」を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による現地訪問調査が遅れている。COVID-19の感染拡大による規制が多少緩和されたものの,定性データ収集のための企業や当該地域の関係者などを対象とするフィールド調査が円満に進行できなかったことが,遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
可能な限り,質的データの収集のための,現地調査を積極的に展開すると同時に,これまでの成果を論文やペーパーとしてまとめる作業を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度に実施できなかった現地調査(海外及び国内)を次年度に実施する予定である。また,研究レビューのための書籍購入と研究遂行のための消耗品の購入,そして現地企業調査のための旅費,必要に応じて研究会開催などに充当する計画である。
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