2022 Fiscal Year Research-status Report
起業機会認識・実現に対する起業家ネットワークの構築・解体プロセスとその影響
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20K01875
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高島 克史 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (60463759)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 起業家 / 起業機会 / オープン戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「起業家と利害関係者とのネットワーキングの構築・解体」と「それらを通じた起業家と利害関係者の認識枠組と行動の変容」といった観点から起業機会の認識・実現プロセスを明示することである。 2022年度は、主に2つのことを実施した。1つ目は、『青森からはばたく じょっぱり起業家群像Ⅱ』という書籍を刊行した。本書は、これまでの研究成果を所属大学内研究者とともに整理したものである。起業においては、起業家が英雄のように扱われるのではなく、起業家を取り巻く利害関係者の存在とその関係性が必要であること、および利害関係者との関係性は構築するばかりではなく時として解体されることもあるといった本研究の基礎をなす研究成果をまとめたものである。 2つ目は、文献研究と資料データの整理を行った。文献研究では、利害関係者との関係性の構築や解体に関して、オープン戦略に関する研究の整理を行った。オープン戦略の考え方に依拠して、起業家と利害関係者との「関わり合い」「透明性」の程度をめぐる議論を念頭に考察した。すなわち、利害関係者はどのような状況や場合に関係性を構築し、どのような状況や場合になると関係性を解体するのか整理を試みた。ただこれら研究は、まだ概念的議論にとどまっており、実証研究段階まで至っていない点が大きな課題であることも明らかとなった。 文献研究を通じて指摘した課題は今後検証するために、まずはインタビュー調査を実施してく必要がある。そこで2023年度はインタビュー調査を行い、質的データの収集を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、起業家およびその利害関係者を対象としたインタビュー調査が必須である。2022年度も、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、思うように調査を進めることが困難であった。アポイントメントがとれても、新型コロナウイルス感染状況により調査が直前でキャンセルとなることが重なってしまった。 同時に研究対象としている起業家も新型コロナウイルス感染拡大に伴う対応に追われており、調査協力のための時間を割いてもらうことも難しかった。 このように、予定していたインタビュー調査が十分に実施できていないため、本研究はやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度もインタビュー調査を実施していく予定である。新型コロナウイルスによる研究上の障壁は低くなることが期待できるため、本年度は計画的にインタビュー調査を実施していく。同時に、文献調査も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い当初予定していた出張やインタビュー調査が実施できなかったため、残額が生じた。2023年度は、青森県内外出張を実施したり、インタビュー調査を積極的に実施していく予定である。
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