2023 Fiscal Year Research-status Report
技術システムの安全な連結のための組織連携に関する研究
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20K01880
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
原 拓志 関西大学, 商学部, 教授 (60252756)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 安全マネジメント / 組織マネジメント / 組織間関係 / 技術安全 / MAISアプローチ / 鉄道安全 / 原子力安全 / 日本企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの研究成果の一部を国際学会The 23rd Biennial Conference of the Society for Philosophy and Technology (SPT2023)で報告した。また、技術システムの安全とイノベーションに関する論文「社会的課題とイノベーション -技術システムの安全を例として- 」を国内主要学術誌である日本経営学会誌第53号で発表した。さらに別の国内主要学会である2024年度組織学会年次大会において安全マネジメントをテーマとするワークショップ「安全マネジメントに組織論がどう貢献できるのか」を企画し司会を務めた。加えて、日本学術会議と経営関連学会協議会との共催で新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおけるレジリエンスのマネジメントをテーマとする公開シンポジウム「パンデミックと経営-危機にどう備えるか-」の開催にも主催分科会委員長として尽力した。これに基調講演をお願いしたANAホールディングス代表取締役会長の片野坂真哉氏ともテーマについて意見を交換した。 研究面では、東海村JCO臨界事故の臨界発生から臨界終息に至るまでの国、県、村、日本原子力研究所(当時)、核燃料サイクル開発機構(当時)、JCOなどの関連組織間の連携やその問題について文献および現地での調査研究を進め、MAISアプローチを用いて分析を進めた。その結果は、令和6年度に(関西大学)商学論集第69巻第1号に学術論文として公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会や学術論文、学会のワークショップや公開シンポジウムなどで研究成果の一部を学界や社会一般に発信できた。また、技術システムの安全な連結のための組織連携について、東海村JCO臨界事故の発生後の国や地方自治体、専門機関、事業所の連携プロセスを事例として再構築し、関連する物的存在、行為主体、制度的構造的要因の相互作用に注目するMAISアプローチで分析をして、そこから得られる教訓を引き出し、学術論文として公刊を進めている。次年度はさらに、別の事例についても調査研究を行う予定であり、これまでの4件の詳細な事例研究を比較分析し、理論的に考察する予定である。以上のとおり、研究方法についてはコロナ禍の影響によって大きく変更せざるを得なかったが、研究目的については概ね達成できる見込みであるから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在取り組んでいる東海村JCO臨界事故の発生後の国や地方自治体、専門機関、事業所の連携プロセスについて、MAISアプローチによる事例分析を行い、学術論文として公刊する。また、さらに別の事故事例における組織連携プロセスの分析をMAISアプローチを用いて実施する。事例としては、航空事故を考えており、航空会社、航空機メーカー、管制などの組織間関係あるいは、各組織の中の部門間連携などに注目していこうと考えている。 次年度は本研究課題の研究計画上の最終年度でもあるので、これまで調べてきた4件の詳細な事例研究を横断的に比較分析し、理論的に考察し、研究計画に示したように、組織連携の構造、インセンティブ制度、コミュニケーション制度、物的構造と技術の活用、ガバナンス制度、リーダーシップや組織文化の醸成などについて、研究に基づいた見解をまとめたい。その結果については、別個の学術論文ないし書籍での公刊を検討する。 さらに、海外の研究者とこれまでの研究成果と今後の研究展開について意見交換を行う機会を作り、国際的な研究動向のなかで、自分の研究を位置づけるとともに、国際的な発信についても機会づくりを図っていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより研究方法を変えたことによりインタビュー調査への依存度が減ったこと、また第5類への移行に伴いインタビュー調査の実施を企画するも先方の都合により受け入れられなかったことなどが原因で次年度使用額が生じた。 最終年度は、安全マネジメント研究領域における海外の研究者と、本研究についての意見交換や今後の研究の展開について話し合うことを計画しているが、円安と航空運賃等の値上がりを考えると、計画以上に旅費が必要になることが予想され、それに次年度使用額を一部使用するほか、最終年度ということで残された調査研究に加えて国内での学会報告などもする予定なので、それらの旅費や資料費、学会参加費に使用する計画である。
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