2020 Fiscal Year Research-status Report
日本企業のイノベーションにおける専有可能性問題の変容に関する研究
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20K01881
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 晃也 九州大学, 経済学研究院, 教授 (50303342)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イノベーション / 専有可能性 / 技術機会 / 特許制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業が自ら実現したイノベーションから、その利益をいかにして回収することができるかという「専有可能性問題」が、1990年代後半以降の日本企業においてどのように変容してきたのかを調査・分析することにより、イノベーションの収益性を改善させるための経営課題を明らかにすることを目的としている。 研究代表者らは、90年代半ばに企業のイノベーション・プロセスに関する日米比較調査を実施した際、日本企業の専有可能性を確保するためのメカニズムに見られる特質等を分析した。その後、四半世紀が経過する間に専有可能性を取り巻く環境も大きく変化したが、それに対して日本企業がどのように対峙してきたのかを把握できるデータが存在していない。そこで本研究では、90年代の調査データと比較可能なデータセットを整備するため、文部科学省科学技術・学術政策研究所(以下NISTEP)が毎年実施している「民間企業の研究活動に関する調査」に所要の調査項目を組み入れてもらうことにより企業別データの収集を行なうこととした。 当年度はNISTEP側担当者との協議により「研究開発プロジェクトの目的」、「新製品・新工程から利益を確保する方法の有効性」、「自社が特許化した新製品・新工程及び特許化しなかった新製品・新工程に他社がキャッチアップするまでのタイムラグ」、「新規プロジェクトの提案及び既存プロジェクトの問題解決に結び付いた情報の源泉」等の項目が2020年度「民間企業の研究活動に関する調査」に組み込まれ、同調査が実施された。その結果、調査対象企業3,820社のうち1,996社から調査票が回収されている(回収率52.6%)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染防止対策のため、研究協力者やNISTEP側担当者との研究打ち合せはオンラインやメールベースでのやり取りが中心となったが、結果的にコミュニケーションには大きな支障も生ぜず、スケジュール通りデータセットの構築作業を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、まず2020年度「民間企業の研究活動に関する調査」の報告書作成に際し、研究代表者がNISTEPの客員研究官として本研究課題に関連する部分の分担執筆に当たる。報告書の公表後、NISTEPに個票の利用申請を行ない、90年代の調査データとの比較を行なうための分析に着手する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染防止対策のため研究打ち合せを全てオンライン等により実施したことから旅費の支出を要さなかったことや、一部物品等にも本研究課題の予算執行を要さない事案が生じたことによる。今後、調査データの分析を進める過程で、補完調査を追加的に実施する等、有用な使途に経費を充てることとしたい。
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Remarks |
初年度はデータの収集段階であるため成果発表は該当なし。
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